ミクローシュ・ペレーニ©KataSchillerガボール・タカーチ=ナジ©Miguel Bueno三浦謙司©Harald Hoffmann©Alain Nahum第407回 横浜定期演奏会 5/31(土)17:00 横浜みなとみらいホール第771回 東京定期演奏会 6/6(金)19:00、6/7(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp62文:池田卓夫文:上田弘子 かつてタカーチ弦楽四重奏団を率いた後、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団のコンサートマスターを長く務め、来日経験も豊富なハンガリーの音楽家ガボール・タカーチ=ナジ(1956~)。5月末から6月はじめにかけて、日本フィルハーモニー交響楽団と初共演する。 日本フィルはかつてハンガリーの名匠ルカーチ・エルヴィン(1928~2011)と信頼関係を築き、死後も名誉指揮者の称号が残る。「私も面識のあったルカーチさんと関係の深いオーケストラだと知り、とても親近感を覚えます」と、現在の本拠地スイス(ヴェルビエ音楽祭室内管弦楽団音楽監督を務める)を結んだインタビューで語った。 6月6日&7日の第771回東京定期演奏会では、前半に「盟友」のミクローシュ・ペレーニのソロでドヴォルザークのチェロ協奏曲、後半にブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」、モーツァルトの 東京音楽大学付属高等学校卒業後に渡仏し、パリ国立高等音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院、スコラ・カントルムで学んだジャンミッシェル・キム。在欧時代から室内楽や歌曲伴奏においても評価高いピアニストで、何より共演者からの信頼が厚いところにその実力がうかがえる。ソロでは持ち前の音楽センスに加えて抜群の和声感で、楽曲の魅力を色彩豊かに、立体的に聴かせてくれる。どんな難曲大曲でも聴き手と音楽を共有する術(すべ)は特筆もので、今回のリサイタルも楽しみなラインナップとなっている。 ドビュッシーは、キムの美しいフランス語のように奏でられるだろうし、シューベルトでは歌心が味わえるはず。プロコフィエフのソナタ第3番「古い手帳から」では、若き頃の作曲家に内在する知的なピアニズムと色合いを、キムはどのように描くか。そして交響曲第41番「ジュピター」と王道の中欧プログラム。旧ハプスブルク帝国のハンガリーとオーストリア、チェコは音楽的にも一体だ。今日の紛争だらけの世界にあって「“ハレルヤ(賛美)”の気分に満ちたモーツァルトのポジティヴな音楽」を奏で、人々が互いに愛し合うこベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」。ピアニストの誰もが憧れ畏れる、後期ソナタの名作かつ難曲中の難曲だ。このピアノ・ソナタには以前から憧れを持っていたというキム。「凄まじいスケールのエネルギーの中には意志の力や深い情緒があり、そこにベートーヴェンの超人的な知性と人間性をも感じられます。何より天才的な作曲技法には感嘆するばかり」と、難攻不落の山を前に武者震いするような様子から、着実にキャリアを積んできた、今年36歳のキムのアプローチに興味が高まる。全編を通してピアノという楽器の魅力も感じられる、魅惑の夏の夕べである。7/26(土)18:00 TOPPANホール問 ジャンミッシェル・キム 日本コンサート090-6472-3734との大切さを訴えたいという。 5月31日の第407回横浜定期ではピアニスト、三浦謙司との初共演を心待ちにしているほか、現在も存命の作曲家夫人から「助言を授かった」というコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」の指揮に強い意欲を燃やす。ガボール・タカーチ=ナジ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団ハンガリーが誇る名匠と注目の初共演ジャンミッシェル・キム ピアノリサイタル憧れの大曲「ハンマークラヴィーア」に挑む一夜
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