北村朋幹 ©TAKA MAYUMI上段左より:上野星矢、岡田 奏、西川智也下段左より:金子亜未、濱地 宗、長 哲也 ©masahiro onoシルヴァン・カンブルラン第650回 定期演奏会 7/8(火)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp58ごほうびクラシック 第14回 The Sixth Sense(木管五重奏+ピアノ)文:鈴木淳史文:片桐卓也 桂冠指揮者カンブルランが、今年も読響の指揮台に登場。当然ながら、彼らならではの唯一無二、興味深いプログラムが用意されている。 メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲で演奏会はスタート。カンブルランが読響から引き出す爽やかな響きは、演奏会全体への期待をかき立てることだろう。 細川俊夫の「月夜の蓮」は、蓮の花が開くという、その動きともいえない動きを繊細な音楽で表現した2006年の作品だ。そこには、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番へのオマージュも重ねられる。ソリストには、バロック以前からの幅広いレパートリーをもち、とりわけロマン派と現代曲で鋭敏なアプローチで魅了するピアニスト、北村朋幹を迎える。最強の布陣だ。 そして、プログラム後半に演奏されるハンス・ツェンダーの「シューマン・ファンタジー」(日本初演)も、過去の名曲へ 話題となった2021年の結成公演を聴かれた方も多いのでは? 木管五重奏+ピアノのアンサンブル「The Sixth Sense(ザ・シックスセンス)」が第一生命ホールの「ごほうびクラシック」に登場する。世界的な評価を受ける上野星矢(フルート)をはじめ、金子亜未(オーボエ)、西川智也(クラリネット)、長哲也(ファゴット)、濱地宗(ホルン)、岡田奏(ピアノ)という豪華なメンバーによる演奏は、楽器の色彩感、圧倒的なテクニック、そして各所に聴かせるエスプリとセンス溢れた音楽性によって、新しい時代の到来を実感させてくれるものだった。 今回の「ごほうびクラシック」では、ビゼー「カルメン組曲」(木管五重奏版)、プーランク「六重奏曲」、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」が取り上げられる。プーランクの「六重奏曲」はこの編成のために書かれた作品で、それぞれの楽器の魅力を知ることが出来るのオマージュといえるだろう。仏教にも傾倒したドイツの作曲家が、シューマンの傑作ピアノ曲「幻想曲」op.17の全3楽章をオーケストレーション。独自の前奏曲と2つの間奏曲を付け足した交響的な作品だ。 ツェンダーによる編曲といえば、シューベルトの「冬の旅」を見事なまでに魔改名曲だが、編曲作品ふたつも興味深い。「カルメン」はスペインを舞台にしたフランス語のオペラで、スペイン的な明るさ、フランス的な色彩も盛り込まれた傑作。お馴染みのメロディもたくさんあるだろう。「ラプソディ・イン・ブルー」はシンフォニック・ジャズを開拓した作品で、ピアノも活躍するが、冒頭に登場するクラリネットのグリッサンドなど、各楽器の魅せどころも多い。それを木管五重奏+ピアノという編成で、どう聴かせてくれるか。聴き手そ9/7(日)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net造したように、その奇想天外な響きに驚く人は多いはずだ。今回の「シューマン・ファンタジー」でも、打楽器や金管楽器を効果的に用いて、シューマンの病的といえるほどのロマンティシズムを最大限に拡張・増幅。この作曲家との縁も深かったカンブルランの指揮で、この快(怪?)作を聴けるという喜び!れぞれの“シックスセンス”をかき立てる演奏に期待したい。シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団独自のプログラミングで花開く幻想的な交響世界“第六感”をかき立てる圧倒的なパフォーマンス
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