第559回日経ミューズサロン ワルター・アウアー フルート・リサイタルウィーンが誇る名手が紡ぐ極上の調べ©Takehiro Gotoワルター・アウアー沢木良子小菅 優 いずみ室内楽シリーズ Vol.2 愛6/20(金)19:00 大阪/住友生命いずみホール問 住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 https://www.izumihall.jp6/26(木)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227https://art.nikkei.comるファンの中には、歌ものはちょっと苦手という方もいるかもしれないが、敢えて今回だけは小菅がいざなう歌曲の世界を味わってみてはいかがか?! “名演”という特別な化学反応が起こりそうな予感がするのだ。二人の公演は、日本では住友生命いずみホールだけ。ここは、小菅優の誘いに乗ってみない手はない。48取材・文:磯島浩彰文:原 典子 20年以上にわたりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ならびにウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席を務めるワルター・アウアー。名実ともに世界最高峰のフルート奏者が3年ぶりに日経ミューズサロンに帰ってくる! 過去、インタビューで「プログラムを作ることは作曲することに似ている」と語っていたアウアーだが、今回もフルート・ファンにはたまらないプログラムが組まれている。 フランソワ・ボルヌが新たに改良したベーム式フルートのために書いた「カ 住友生命いずみホールが昨年から始めた「小菅優 いずみ室内楽シリーズ」の2回目の公演が6月20日に行われる。小菅優は2010年以降、「ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲演奏会」や「Four Elements」といった意欲的な企画で名演奏を繰り広げ、クラシック音楽ファンを唸らせてきた。このシリーズでは「好きな仲間と共に音楽を作り上げてほしい」というホール側の意向に沿って、室内楽を取り上げることとなった。 「尊敬する武満徹さんの『私にとっての音楽は、祈り・愛・希望だった』という言葉から、3回のシリーズを考えました。前回のVol.1“祈り”では、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットという珍しい編成でメシアンの『時の終わりのための四重奏曲』をメインにしたチャレンジングなプログラムを組みました。Vol.2“愛”ではメゾソプラノのミヒャエラ・ゼリンガーを共演者に選び、シューマンの連作歌曲『女の愛と生涯』を中心に、“愛”がテーマの名曲の数々を演奏します」 室内楽シリーズで、歌が主役の作品を取り上げる意図について尋ねてみたところ、次のように答えてくれた。 「歌曲ではピアノは歌の伴奏ですが、その伴奏が奥深く、やり甲斐があります。歌手が歌うメロディ以外のすべてルメン・ファンタジー」は、サラサーテの同名曲に負けず劣らず超絶技巧のオンパレード。続いてシューベルトの「美しき水車小屋の娘」の中の〈しぼめる花〉のメロディを主題とした変奏曲、ジャズのリズムを取り入れたフランク・マルタンの「バラード」のあとは、プーランクとプロコフィエフのソナタを。どちらも20世紀におけるフルート・ソナタの傑作であり、名手アウアーと長年にわたり共演を重ねてきたピアニストの沢木良子のデュオで聴ける機会は逃せない。をピアノが作らないといけません。曲の世界観を作るのもピアノ。今回はイタリア、フランス、そしてドイツの三ヵ国語による歌曲をお届けしますが、言語の発音に応じて作り出すハーモニーの色彩も違います。詩のそれぞれのキャラクターを的確に歌い分けるミヒャエラの歌は素晴らしく、一緒に音楽を作っていく喜びは格別です。皆さまにミヒャエラのことを知っていただきたくて、今回は彼女を日本に呼び、一緒に演奏いたします」 ミヒャエラ・ゼリンガーも「優と私は、ベルリンでコンサートの準備をしています。世の中が狂乱に向かうこの時に音楽に専心できる私たちは、とても恵まれていると感じます。今回、コンサートの機会をいただいたことに心から感謝しつつ、お客様のために演奏したいと思っています」とメッセージを寄せる。 クラシック音楽のファンの中には、何でもござれという強者もいるが、オーケストラが好き! 弦楽四重奏こそが音楽の真髄! 最高の楽器は人間の声! など様々な嗜好があるのも事実。小菅のピアノ演奏を好んで聴いていInterview小菅 優(ピアノ)盟友と綴る“愛”の名歌
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