eぶらあぼ 2025.6月号
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ジャナンドレア・ノセダ ©Tony HitchcockこれまでのNYO-USAメンバー ©Chris Leeレイ・チェン©Decca Records 2024左より:高関 健 ©大窪道治/小原啓楼/妻屋秀和 ©takafumi ueno/上江隼人/大塚博章/木下美穂子 ©Yoshinobu FUKAYA auraY2/加藤のぞみ第381回 定期演奏会 9/6(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp47文:林 昌英文:山崎浩太郎 創立50周年を迎え、記念年ならではの演目が連続する東京シティ・フィル。ことに常任指揮者の高関健とは特別な大作が続くが、9月のヴェルディ《ドン・カルロ》演奏会形式上演(全4幕、第2幕第2場、大フィナーレを除く全曲)は今年度の目玉のひとつとなる。 同コンビは2023年秋のプッチーニ《トスカ》、今年3月のヴェルディ「レクイエム」、いずれも大成功に導いた。イタリアのオペラと声楽の名作に取り組んできた流れで、ヴェルディ中期の大作《ドン・カルロ》に挑戦するわけで、彼らのこれまでの積み重ねが集約され ニューヨークのカーネギーホールは、新たな世代の育成など、社会貢献活動にも力を注いでいる。その中心的な取り組みが、毎年夏に結成されるナショナル・ユースオーケストラUSA(NYO-USA)だ。全米から選抜された16~19歳の優秀な若者が、一流のプロ・オーケストラの楽団員から数週間にわたる指導を無償で受け、カーネギーホールでのコンサートと海外でのツアーを行なうものである。 2013年の開始以来、約1500人の若い音楽家が参加、100人以上の卒業生がアメリカや世界各地のプロのオーケストラ、アンサンブルに入団している。医学、法律、テクノロジーなど、音楽以外の分野で活躍する人材も多いという。 カーネギーホールはサントリーホールと長年パートナーシップを結んでおり、今回のNYO-USAの来日はそのパートナーシップに基づいている。総支配人兼芸術監督のクライブ・ギリンることになる。 多彩なキャラクターが次々に現れ、政略と愛憎が絡み合う壮大なオペラで、複雑な要素がかみ合ったときの感動の大きさも比類がない。また、今回はスペクタクルな場面はカットの予定。諸事情はあるのだろうが、結果的には人間ドラマとしての濃度はむしろ高まることになりそうで、違う角度からストーリーを楽しむこともできそうだ。 もちろん、歌手陣の充実は本作のマソンは「サントリーホールでの公演は特別な意味を持つでしょう。私たちは共に最高の音楽を心から讃え、音楽が人々の人生に意味のある変化をもたらすことに尽力してきた間柄だからです」と期待を寄せる。 指揮者は、ワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督をつとめ、NHK交響7/26(土)17:00 サントリーホール問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 suntoryhall.pia.jpスト要件。ヒロイックな役を得意とするタイトルロールの小原啓楼をはじめ、フィリッポ2世に妻屋秀和、ロドリーゴに上江隼人、宗教裁判長に大塚博章、ベテランの重厚な男声陣。エリザベッタに木下美穂子、エボリ公女に加藤のぞみ、美声と芯の強さを備えた女声陣。幸いにもヴェルディ経験豊富な、盤石の出演者がそろう。好調の東京シティ・フィル・コーアの健闘も期待できる。初秋の午後、雄大な《ドン・カルロ》の世界を。楽団への客演でもおなじみのジャナンドレア・ノセダ。曲目は、レイ・チェンと共演するメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と、ラフマニノフの交響曲第2番など。欧米の優れたユースオーケストラを日本で聴ける機会は少ないだけに、若い覇気に満ちた演奏と雰囲気を、ぜひ味わってほしい。高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団盤石の布陣で臨むヴェルディの大作ジャナンドレア・ノセダ(指揮) ナショナル・ユースオーケストラUSA若き音楽家たちの情熱がほとばしる!

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