eぶらあぼ 2025.6月号
44/133

7/4(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター 03-3567-9990 https://www.ojihall.jp他公演 6/26(木) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)    6/27(金) 神奈川県立音楽堂(チケットかながわ0570-015-415)    6/28(土) 杉並公会堂(03-5347-4450)    6/29(日) 京都/青山音楽記念館バロックザール(075-393-0011)※プログラムは公演により異なります。ダニエル・ロザコヴィッチ ©Sasha Gusov左より:クリストフ・トラクスラー、シュテファン・コンツ、ダニエル・オッテンザマー ©Andrej Grilcタルモ・ペルトコスキ ©Peter Rigaud第2041回 定期公演 Cプログラム6/20(金)19:00、6/21(土)14:00 NHKホール問 N響ガイド 0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp41文:飯尾洋一文:青澤隆明 かつては「指揮者は60歳でようやく一人前」などと言われたものだが、近年の音楽界はすっかり様変わりして、次々と若い指揮者が頭角を現している。それにしても「2000年生まれの指揮者」がNHK交響楽団の定期公演に招かれるとは驚くほかない。 その新星の名はタルモ・ペルトコスキ。指揮者王国フィンランドの出身だ。ヨルマ・パヌラ、サカリ・オラモに師事し、ハンヌ・リントゥ、ユッカ゠ペッカ・サラステ、エサ゠ペッカ・サロネンといった同国の名指揮者たちの指導を受けた。2022年にドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者に抜擢されると、あっという間にラトヴィア国立交響楽団音楽監督兼芸術監督、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団音楽監督への就任が発表された。いったいなにが起きているのかと戸惑うほどの勢いだが、よほどの オッテンザマーは父と兄がウィーン・フィル、弟がベルリン・フィルの首席というクラリネットの名手。ウィーンの音楽一家の粋だ。ダニエル・オッテンザマー(お兄さん)と、チェロのシュテファン・コンツ、ピアノのクリストフ・トラクスラーの3人は幼馴染で、いかにも仲がよさそう。「クラリネット・トリオ・アンソロジー」は古今東西の曲に取り組む彼らのプロジェクトで、すでに多種多彩な27曲をCD7枚にまとめている。パンデミックのさなかに、気心の知れた3人で音楽のエッセンスを深めようとしたのがきっかけらしい。 大家の名作はもちろん、聴き馴れないレパートリーも披露されるが、すべてが器用で、スタイリッシュに表現されるので、こちらは滑らかな各々の風味に舌鼓を打っていればいい。彼らの演奏は、古典派でもロマン派でも20世紀でも明快で軽妙、“enjoy”とステージから呼びかける言葉のとおりだ。ちょう才能の持ち主なのだろう。すでにドイツ・グラモフォンからドイツ・カンマーフィルを指揮したモーツァルト・アルバムをリリースしており、その才気は録音からも伝わってくる。 今回、N響との共演にあたって用意されたプログラムは、ダニエル・ロザコヴィッチのソロによるコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲と、マーラーの交響曲第1番「巨人」。スウェーデン出身のロザコヴィッチもど2年前の王子ホールの夜はそうだった。 この初夏のコースは、フォーレとロータ、タネジとベートーヴェンという多様なプログラムだが、料理人の腕はぴったりと揃って達者である。フォーレは3つの素材を融け合わせ、ニーノ・ロータはそれぞれの風味をくっきり引き立てる。タネジの「コルテージュ・フォー・クリス」は、1997年に書かれた親友への追憶。ベートーヴェンは初期の人気作七重奏曲を自身が編曲早くから神童として注目された逸材だ。世紀末ウィーンが育んだふたりの作曲家の傑作に新時代の才能が挑む。した版。フランス、イタリア、イギリス、ドイツ(というかウィーン)を巡り、19世紀への変わりめから20世紀までを旅する夏の夜の夢となる。タルモ・ペルトコスキ(指揮) NHK交響楽団破竹の勢いでキャリアを築く25歳の俊英が初登場!ダニエル・オッテンザマー クラリネット・トリオ・アンソロジーウィーンの3人組はどこまでもスタイリッシュに!

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る