eぶらあぼ 2025.6月号
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39「同じ経験者だとも知らずに話しかけたんですけど、吹部希望だとわかって、一緒に入部し、いままでともに活動してきました」 詩は1年生から、花奈子は2年生からコンクールメンバーとして全国大会を経験した。マーチングコンテストはふたりとも2年間全国大会で演奏・演技を披露した。結果はすべて銀賞で、悔しい気持ちも一緒に味わった。 先輩たちが引退した後、詩は新部長に立候補して承認され、花奈子は副部長になった。詩は言う。「いままでリーダーを務めたことがなかったのですごく不安でしたが、永田(花奈子)とならやっていけると思いました。私が富商に来ていちばんよかったと思っているのが、永田と出会えて、一緒に部活をできていることです。リーダーの役割も、永田がいるから頑張れる自信があります」 楽天的な詩にとって、物事をじっくり深く考える花奈子は自分にない視点を与え、自分に足りない部分を補完してくれる存在だ。 一方の花奈子も、詩に対する信頼は深い。「西村(詩)はたくさん私の話を聞いてくれます。私は少し心配性で、トランペットの演奏が上手にできるか不安になってしまうのですが、うまくいくと『よかったね!』と自分のことのように喜んでくれるのがとても嬉しいです。副部長をやると決めたのも、西村が部長に立候補したからです」 「北陸の横綱」富山商業だが、練習場はプレハブで、冬寒く、夏暑い。この春は新入部員が36人も入って総勢68人となったが、全部員が練習場に入ると少々手狭になる。 今年の3年生はわずか11人。5倍以上の人数の後♪♪♪♪♪♪輩たちを引っ張っていかなければならない。また、コンクールメンバーのほとんどを3年生が占めるライバル校に比べれば不利な面もある。だが、詩たち3年生は「人数の少なさを言い訳にしない」ということを心に決めている。その上で「コンクールもマーチングも、全国大会金賞」という大きな目標を掲げた。花奈子はこう言う。「今年のキーワードは『化ける』です。私たちはよく音楽面でも行動面でも『積極性に欠ける』『こじんまりしている』と言われます。今年は部員全員が『化け』て、銀賞の壁を越えたいです」 コンクールの富山県大会は7月26日、全国大会に出場する代表2校が決まる北陸大会は8月11日。すでに3カ月を切っており、部員たちは早くも焦りを感じている。リーダーの詩と花奈子にもプレッシャーがかかるが、ふたりにとってお互いの存在が支えになっている。詩はこう語る。「課題は山積みです。でも、永田とふたりなら、どんな困難でも乗り切っていける気がします」 篤い友情と絆で結ばれた少女たちが、富山商業を金色に輝く頂へと導いていく。拡大版はぶらあぼONLINEで!→小西衛先生

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