eぶらあぼ 2025.6月号
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9月の見もの・聴きものでもセクハラ、パワハラには非常に厳しい目が向けられるが、ロトもこの問題のためにケルン歌劇場(1年早く契約終了)や古楽団体レ・シエクル(辞任)の指揮活動ができなくなっていた。そのロトが、9月からの新シーズンになって、ベルリン・フィルやSWR響に復帰するのは、ロトの音楽性を信奉する者にとっては大きな朗報だ。 次には、新シーズンを迎えて注目すべき劇場を2つチェックしよう。1つはハンブルク州立歌劇場。音楽監督がケント・ナガノからオメル・メイール・ヴェルバーに代わるが、それより興味をかき立てられるのはインテンダントが演出家のトビアス・クラッツァーに代わること。クラッツァーは2019年にバイロイト音楽祭で演出した「タンホイザー」で一躍注目された後、最近ではバイエルン州立歌劇場でワーグナーの「リング」の演出を進行中だが、その中でハンブルクの要職に就き、9月は早速、シューマンのオラトリオ「楽園とペリ」を自身の演出付で上演するという意表を突いたデビューをする。そして、もう1つの注目はチューリヒ歌劇場。この劇場、21世紀初頭の頃のような華やかな歌手陣・指揮者陣に比べて、最近はやや注目度に欠ける印象を受けていたが、9月からのシーズンはかなり意欲的なプログラムが出てきた。例えば、9月はダムラウのマルシャリン、マルヴィッツの指揮、リディア・シュタイアーの□□□□□□【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演(Lass uns die Welt vergessen - Volksoper 1938)(J.ベネシュの「ヴァッハウからの挨拶とキス」(1938年にフォルクスオーパーで上演予定だったオペレッタ。ナチス侵攻により公演中止)の残存資料からK.カガルリツキーがスコアを再構築) 演出/T.ボアマンス[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(GFN)=ヴォルケントゥルム(野外劇場/グラーフェネック/オーストリア)、(LUZ)=コンツェルトザール(ルツェルン)、(LON)=ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)、(PAR)=シャンゼリゼ劇場(パリ)、(LJU)=カンカリエフ・ドーム(リュブリャナ)、(GRZ)=ムジークフェライン・フュア・シュタイアーマルク(グラーツ)]◎9月3(19:00)(GFN)、5(19:30)(LUZ)、6(18:30)(LUZ)、8(19:30)(LON)、9(18:30)(LON)日 F.ウェルザー=メスト指揮 → 〔グラーフェネック音楽祭(3日)/ルツェルン国際フェスティバル(5/6日)/プロムス(8/9日)〕参照◎9月10(20:00)(PAR)、12(20:00)(LJU)、13(19:30)(GRZ)日 F.ウェルザー=メスト指揮 モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」◎9月20(15:30)、21(11:00)、22(19:30)、23(19:30)、25(20:00)(KH)日 T.ソヒエフ指揮 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番、ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1911年版)独/M.アルゲリッチp/L.シュテルナートp(25日)[会場:コンツェルトハウス(ウィーン)]◎9月27(19:30)、28(15:30)日 F.ルイージ指揮 フランツ・シュミット:7つの封印の書独/M.シュミットT、G.セメンツァートS、他(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)[ウィーン]◎9月20(15:30)、21(11:00)、22(19:30)、23(19:30)日 T.ソヒエフ指揮ウィーン・フィル → 〔ウィーン・フィル〕参照9月20(19:30)、21(19:30)日 L.シャニ指揮ミュンヘン・フィル → 〔ミュンヘン・フィル〕参照9月24(19:30)日 C.マチェラル指揮フランス国立管 → 〔フランス国立管〕参照[ウィーン](主要公演のみ)◎9月3(19:30)、4(19:30)日 K.マケラ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管 → 〔ロイヤル・コンセルトヘボウ管〕参照◎9月14(19:30)日 J.E.ガーディナー指揮コンステレーション管 メンデルスゾーン:真夏の夜の夢、最初のワルプルギスの夜◎9月25(20:00)日 T.ソヒエフ指揮ウィーン・フィル → 〔ウィーン・フィル〕参照◎9月27(19:30)、28(15:30)日 F.ルイージ指揮ウィーン響 → 〔ウィーン響〕参照(8月14日-9月7日)[会場:無印=ヴォルケントゥルム(野外/グラーフェネック)、(A)=アウディトリウム(グラーフェネック)](9月分/主要公演のみ)◎9月3(19:00)日 F.ウェルザー=メスト指揮ウィーン・フィル モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」◎9月4(19:00)日 D.ハーディング指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立管 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番、ブラームス:交響曲第2番 独/R.ブッフビンダーp◎9月7(11:00)(A)日 K.F.フォークトT、アウィーン国立歌劇場9月3、5、9、12日 モーツァルト:魔笛 指/P.ランゲ、演出/B.ホラコヴァ、出/C.フィシェッサー、J.プレガルディエン9月4、8、11日 ヴェルディ:オテロ 指/B.ド・ビリー、演出/A.ノーブル9月6、10、13、16日 チャイコフスキー:イオランタ 指/T.ザンギエフ、演出/E.ティトフ、出/S.ヨンチェヴァ◎9月14、17、21、24日 ワーグナー:タンホイザー 指/A.コーバー、演出/L.シュタイアー、出/C.ヒリー、C.ニールンド9月20、25、27、29日 プッチーニ:トスカ 指/P.G.モランディ、演出/M.ヴァルマン、出/E.スティヒナ、J.テテルマン9月26日 ロッシーニ:セビリアの理髪師 指/G.カプアーノ、演出/H.フリッチュ★◎9月28日 スメタナ:売られた花嫁[プレミエ] 指/T.ハヌス、演出/D.シュメディング、出/F.X.シュレヒト、M.プラマー◎9月30日 クルターグ:勝負の終わり 指/S.ヤング、演出/H.フリッチュウィーン・フォルクスオーパー9月4(19:00)、12(19:00)、16(19:00)日 J.シュトラウスII:こうもり 演出/R.ヘルツル9月5(19:00)、6(19:00)、11(19:00)、13(19:00)、17(19:00)、20(19:00)、25(19:00)、27(19:00)、30(19:00)日 バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリー(ミュージカル)演出/L.デ・ベア9月7(19:00)、9(19:00)、15(19:00)日 ビゼー:カルメン 演出/L.デ・ベア★◎9月14(17:00)、18(19:00)、21(17:00)、28(18:00)日 モーツァルト:魔笛[プレミエ] 指/B.グラスバーグ、演出/L.デ・ベア◎9月19(19:00)、23(19:00)、26(19:00)日世界を忘れよう-フォルクスオーパー1938年 9月は多くの劇場で新シーズンの開幕となるが、一方、秋の音楽祭も多数ある(本文参照)。これに加えて「ルツェルン音楽祭」や「プロムス」など8月から継続する催しも少なくないため、掲載すべき公演データ数は今年も飽和状態。そのため、公演内容の発表が遅れるなどで未掲載となっていた8月分以前の夏の音楽祭情報は「プロムス」の8月分を除き、本号での後追い掲載ができなくなってしまった。どうか事情をご了解・ご容赦の上、ホームページ等での確認をお願いしたい。 さて、音楽祭企画の前に、9月に見落とせないトピックをまずピックアップしておこう。 最初に注目すべきは、ベルリン州立歌劇場でシーズン開幕公演として行われる、ティーレマン指揮のワーグナー「ニーベルングの指環」ツィクルス公演。ティーレマンがこの劇場のシェフに就任しての実質的に初めての看板公演となるため、それはそれは凄まじい人気で、今年2月のチケット発売時には、あまりのオーダー殺到のため、劇場の販売システムが完全にダウン。2時間ほどして発売が再開された後もあっという間にチケットが完売となる始末で、このチケットを手に入れた方は実に幸運。 次に注目すべきは、指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトの復活。最近はどの世界演出と、強力な女性3人を集めて上演するR.シュトラウス「ばらの騎士」で幕開け。これはちょっと聴きものだ。 これ以外には、久々新しい演出が出るウィーン国立歌劇場のスメタナ「売られた花嫁」、ソヒエフとアルゲリッチが共演するウィーン・フィル、N響第2000回定期公演で実現しなかったフランツ・シュミットの「7つの封印の書」をルイージが振るウィーン響、ベルリン・フィルではアルブレヒト・マイヤーのソロによるB.A.ツィンマーマンのオーボエ協奏曲(ペトレンコ指揮)、古楽系の注目公演が並ぶ「ブレーメン音楽祭」や「バイロイト・バロック・オペラ・フェスティバル」、ピション指揮のヘンデル「アリオダンテ」(パリ・オペラ座)、ヘンゲルブロックが新音楽監督となるパリ室内管(シャンゼリゼ劇場)、またフルシャが新音楽監督となる英国ロイヤル・オペラのプッチーニ「トスカ」(ネトレプコ出演)などが並ぶ。音楽祭関係を補足すると、ベルリン秋の定番オーケストラ音楽祭とも言うべき「ムジークフェスト・ベルリン」、共にチェコ・フィルの活躍する「ドヴォルザーク・プラハ国際音楽祭」と「ジョルジェ・エネスク国際フェスティバル」、相変わらず豪華な公演の続く「プロムス」や「ルツェルン音楽祭」など、注目公演は多種多彩。ムジークフェライン[楽友協会]大ホールコンツェルトハウス 大ホールグラーフェネック音楽祭〔Ⅰ〕オーストリア120ウィーン・フィルウィーン響曽雌裕一 編2025年9月の

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