SACDCDSACDCD104チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/ジョージ・ハリオノR.シュトラウス:アルプス交響曲&ヨゼフ伝説/パーヴォ・ヤルヴィ&N響J.S.バッハ:フルート・ソナタ集/工藤重典&リチャード・シーゲルGifts for Trombonists/玉木優&高良仁美パーヴォ・ヤルヴィとN響が取り組んできたR.シュトラウスの管弦楽曲シリーズの完結となる第3弾。「アルプス交響曲」は、冒頭の“夜明け”からしてその音型がじつにクリア。巨大な編成を抜群のコントロール力で精妙に動かすヤルヴィ。濃密なアンサンブルで、表情豊かなソロも聴かせるN響。なんといっても、アルプスの壮大な自然を描くというより、人の一生やその哀歓がつぶさに感じられる演奏だ。とくに前半の生き生きとした表情、頂点に達したあとのしっとりと黄昏れていく音色。人生の折り返し地点を越えた自覚がある人なら、その憂愁が身に染みること間違いない。(鈴木淳史)工藤重典の円熟のバッハ。工藤は米国のチェンバロ奏者リチャード・シーゲルと30年以上前に、バッハのソナタ全集を録音している。二人ともそれぞれ老成して、見事なバッハを聴かせる。ロ短調ソナタは傑作にふさわしく、中身が濃い。声部の対位法的な絡みが実に面白い。ただ漫然と聴いているだけでも爽やかで美しい。ラルゴの深い情緒とフィナーレのフーガ風模倣とジーグの躍動。工藤の音作りは、全く自由自在だ。ハ長調ソナタの無窮動の華麗な技巧とアダージョの内省の深さ、ホ短調ソナタの協奏的な声部交替でのシーゲルとの駆け引き、ホ長調ソナタの旋律の陰翳の彫琢など、聴きどころは多い。(横原千史)第17回チャイコフスキー国際コンクール第2位受賞で注目を集める、ロンドン生まれでアジアにもルーツを持つ新星ピアニストの、協奏曲日本デビュー公演(サントリーホール)の熱演を収録したライブ盤。同コンクールのファイナルでも演奏したという性格の異なる2つの大曲を、チャイコフスキーはまるで東京フィルに挑むように、ラフマニノフでは寄り添うようにして、それぞれのロマンティシズムを紡ぎ出す。渡邊一正の指揮も彼のノーブルな魅力を見事に引き立てている。アンコールで聴衆の心を更に掴んだブラームスの間奏曲が入っているのも嬉しい。 (東端哲也)ソリストとして世界で活躍を続けるトロンボーン奏者の4枚目のソロ・アルバム。トロンボーンとピアノのためのスタンダード・レパートリーを8曲収録した、同楽器の大本命盤ともいえる内容だ。全体に豊潤な音色と高い技術力を生かした表情豊かな演奏が展開されており、こうした楽曲の音楽的妙味を堪能することができる。中でも、大定番のボザ「バラード」のこまやかな表現や、クロルの「カプリッチョ・ダ・カメラ」の「少しジャズ風の演奏」(本人)は聴き応え十分。高良のピアノも音楽に鮮やかな彩りを付与している。演奏者の参考録音としても有意義な1枚。(柴田克彦)パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)NHK交響楽団工藤重典(フルート)リチャード・シーゲル(チェンバロ)ジョージ・ハリオノ(ピアノ)渡邊一正(指揮)東京フィルハーモニー交響楽団玉木優(トロンボーン)高良仁美(ピアノ)収録:2023年4月、NHKホール(ライブ)ソニーミュージックSICC-19085 ¥3630(税込)マイスター・ミュージックMM-4541 ¥3520(税込)チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/ブラームス:6つのピアノ小品より第2番 間奏曲収録:2024年11月、サントリーホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCT-00214 ¥3850(税込)ロパルツ:小品 変ホ短調/ボザ:バラード/デュティユー:コラール カデンツァとフガート/ヒダシュ:ムーヴメント/ルソー:協奏的小品/クロル:カプリッチョ・ダ・カメラ/ヨンゲン:アリアとポロネーズ/サン=サーンス:カヴァティーナ妙音舎MYCL-00061 ¥3410(税込)R.シュトラウス:アルプス交響曲、「ヨゼフ伝説」交響的断章J.S.バッハ:フルート・ソナタ ロ短調、同ハ長調、同ホ短調、同ホ長調
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