©武藤 章©塩澤秀樹Interview5/20(火)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jpに魅力を感じていました。それが表現できるのはショパンやクララ・シューマンの作品かなとも思います。いつも悩みながらのプログラミングですが、楽しんでいただけたら幸いです」 今年もブルーローズにその豊かな世界が広がる。海野幹雄チェロ・リサイタル 2025 西洋と東洋の融合 Vol.26/1(日)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 新演コンサート03-6384-2498 https://www.shin-en.jp67取材・文:片桐卓也文:長井進之介 モーツァルトをはじめとする古典派音楽のスペシャリストとして圧倒的な存在感を放つピアニストの久元祐子。リサイタルでの演奏はもちろん、作曲家が生きていた時代の楽器とモダン楽器の弾き比べやレクチャーなど、様々な角度から楽曲の魅力を伝えてきた。そんな久元がいま力を入れているのはベートーヴェン。2027年の没後200年という節目を見据え、ピアノ・ソナタ全32曲によるリサイタルシリーズを2023年から行っている。 第3回は第2番、第7番と第11番、第 幅広いレパートリーを組み込んだリサイタルを2008年から展開してきたチェロの海野幹雄。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲はもちろんのこと、ブリテンの無伴奏組曲やオール・ベートーヴェン・プログラムなど、毎年ちがった趣向でチェロの世界の広さを教えてくれる。今年はどんな内容になるのか? 「2024年からは『西洋と東洋の融合』というテーマを掲げて、プログラミングをしています。第1回目となった昨年は、西洋からはメンデルスゾーンの作品、東洋からは武満徹『オリオン』と土田豊貴氏に委嘱した新作『コレオ(無伴奏チェロのための)』を組み合わせました。2025年はその『Vol.2』となりますが、西洋からはベートーヴェンがモーツァルトの《魔笛》のアリアをチェロ用に編曲した変奏曲、ショパンのチェロ・ソナタなど、東洋からは倉田高の『日本人形の踊り』と黛敏郎の『BUNRAKU』を組み合わせます」 幅広い知識と経験を持つ彼にしか思い付かないようなユニークなプログラムだ。そこをもう少し掘り下げてもらった。 「モーツァルトは大好きな作曲家なのですが、彼はチェロ用の作品を書いていないので、ベートーヴェンの力を借りて、ここでモーツァルトの世界も紹介したいと思いました。東洋の作品2曲は実は〈人形〉つながりです。倉田高12番「葬送」というプログラム。若きベートーヴェンが技術、構成ともに様々な工夫を盛り込んだ意欲作が並んでおり、演奏者には表現においても高度なものが要求される。久元のあたたかく透明感のある音色、精緻を極めた技術に裏打ちされた演奏が、楽曲にさらなる輝きをもたらすことであろう。それを支えるのは演奏家が求める音色を最大限に引き出すベーゼンドルファー280VCおよび290インペリアル。ベートーヴェンの音楽の神髄に触れられる公演となるはずだ。は僕の師でもある倉田澄子先生のお父様で、作曲もなさっていた方でしたが、この曲はフランスの名手モーリス・マレシャルへ献呈されました。以前からアンコールなどでは取り上げたことがあったのですが、今回はリサイタルの中で演奏したいと思い、黛さんの傑作と組み合わせました」 さらに興味深いのはショパンの2曲「序奏と華麗なポロネーズ」とチェロ・ソナタ、クララ・シューマンの「3つのロマンス」が西洋の作品として演奏されること。 「ロマン派の作品には傑作が多く、どれを入れようかと常に迷うのですが、今回はショパンに挑戦します。ピアノはいつも妻(海野春絵)に共演してもらっているので、彼女のピアニストとしての魅力も知っていただける機会にしたいとも考えたからです。大学の頃から彼女の演奏を聴いているのですが、特に他の楽器と合わせた時の繊細な音楽性久元祐子 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 Vol.3革新性に満ちたウィーン時代初期の作品群を堪能する一夜海野幹雄(チェロ)“人形”をテーマにした日本の2作にロマン派の傑作をあわせて
元のページ ../index.html#70