eぶらあぼ 2025.5月号
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中原梨衣紗 ©Ayako Yamamoto和田一樹 ©RINZO角田鋼亮 ©Makoto Kamiya関 朋岳 ©井村重人特別演奏会 “新しい風” 名曲コンサート vol.36/6(金)19:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp66文:長谷川京介文:原 典子 クラシック界の未来を担う16歳のヴァイオリニスト、中原梨衣紗(りいさ)。10歳で全日本学生音楽コンクール全国大会第1位、11歳でドイツのクロスターシェーンタール国際ヴァイオリンコンクール(14歳以下の部)第1位、2024年日本音楽コンクール第2位の俊才。 中原が今回挑むのは、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番。「パガニーニらしい華やかで明るい旋律が魅力的で、演奏するたび胸が高鳴る」と語る。ヴァイオリンの超絶技巧を極め、オペラ的な要素もある名曲をどう表現するのか、大きな期待が寄せられている。 彼女の魅力は、圧倒的なテクニックだけではない。最近チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴く機会があったが、端正な音の一つひとつに、確固たる音楽への信念が息づいていた。オーケストラに負けない芯の強さがあり、抒情的な部分では美音で柔和な感情を紡ぎ出し、時にオーケストラをリードする堂々とした演奏ぶりだった。 コンサートホール、動物園、美術館、博物館……上野の森を歩くと、あらためてここが日本の文化的中心地だと実感する。そんな上野をお子さんと一緒に丸ごと楽しめる太っ腹な企画が「夏休み子ども音楽会2025《上野の森文化探検》」。小中学生1,100円、大人もリーズナブルな価格で、東京文化会館でのコンサートに加え、9つの文化施設の無料または割引入場券のついた「上野1dayパス」が利用できるのだ。 コンサートは1時間ながら、角田鋼亮が指揮する東京都交響楽団、さらに今年は2018年東京音楽コンクール弦楽部門第1位のヴァイオリニスト、関朋岳を迎えての盛りだくさんなプログラム。関は23年にバルトーク国際コンクール(ハンガリー)で第2位、24年にはハチャトゥリアン国際コンクール(アルメニア)で優勝を果たしており、今回演奏するラヴェルの「ツィガーヌ」は民族的な要素を含む作品であるだけに、 6月の公演で指揮を務めるのは、ブカレスト国際指揮者コンクール準優勝の和田一樹。ドラマ『のだめカンタービレ』や映画『マエストロ!』の指揮指導を担当し、国内外で活躍する実力派だ。彼のダイナミックかつ繊細な指揮が、新日本フィルハーモニー交響楽団の響きを引とても楽しみだ。 そのほか、エルガー「愛の挨拶」、J.シュトラウスⅡ世「美しく青きドナウ」といったおなじみの名曲もありつつ、バーンスタインの「キャンディード」序曲のワクワクするような躍動感や、芥川也寸志の弦楽のための三楽章「トリプティーク」より第1楽章のカッコよさなど、子どもたちは曲を知らなくても釘づけになることだろう。シベリウスの交響詩「フィンランディア」ではオーケストラならではの壮大なスペクタクルを体験してもらいたい。7/27(日)13:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jpき立て、中原の挑戦を強力にサポートする。プログラムの締めくくりには、ベートーヴェンの交響曲第7番が控えている。舞踏的なリズムが特徴のこの名曲を、和田がどう描き出すのかも聴きどころのひとつ。「新しい風」が吹き込む瞬間を、ぜひ会場で体感してほしい。 上野の森を歩き疲れたら「上野のれん会」の飲食店でひと休み。1dayパスがあればドリンクやデザートがサービスになりますよ。和田一樹(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団新星ヴァイオリニスト、16歳の挑戦夏休み子ども音楽会2025 《上野の森文化探検》親子そろって、芸術のまちをまるっと味わおう!

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