西村 悟 ©T.Tairadate河原忠之 ©K.Miura尾高忠明 ©読響岩田達宗第648回 定期演奏会 5/27(火)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp53〈オペラティックリート Vol.1〉 西村 悟 × 河原忠之 × 岩田達宗シューマン 詩人の恋(舞台版)(原語上演・字幕付き)文:山田治生文:室田尚子 尾高忠明が5月27日の読売日本交響楽団定期演奏会でブルックナーの交響曲第9番を指揮する。若き日にウィーンで学んだ尾高にとって、ブルックナーは最も大切な作曲家の一人である。今年2月には大阪フィルの定期演奏会および東京公演で交響曲第4番「ロマンティック」を指揮して名演を繰り広げたばかり。読響とは1996年にも交響曲第9番を取り上げている。今回は、ベンヤミン=グンナー・コールスによる校訂版(2000年)を使用。尾高は、1992年から98年まで読響の第6代常任指揮者を務め、現在は名誉客演指揮者のポストにある。円熟の関係にある尾高&読響が感動的なブルックナーの交響曲第9番を聴かせてくれるだろう。 演奏会の前半では、尾高忠明の父、尾高尚忠の交響的幻想曲「草原」(1944年初演)が演奏される。第二次世界大戦中、日本の作曲家によって、アジアを題材としたオーケストラ曲が少なからず作 日本のオペラ界を代表するプリモ・テノールとして大人気の西村悟が、リートのコンサートを行う。取り上げるのはシューマン「詩人の恋」。コロナ禍に歌い手として様々な困難に直面する中、改めて向き合った作品だという。近年西村は、仲道郁代とのコンビで「詩人の恋」や「美しき水車小屋の娘」を歌って高い評価を得ている。いわば、リートの世界にも活動の幅を広げつつあるわけだが、そんな西村が、今回は単に歌うだけでなくオペラのようにドラマを描き出す公演にしたいと考えたそうだ。公演タイトルも「オペラティックリート」と名付けられている。 そのために、日本のオペラ演出における第一人者である岩田達宗を招き、リートでありながら演出を施す。岩田は、東京文化会館でバリトンの小森輝彦とともにドイツリートをオペラとして上演する企画を重ねているが、その経験とアイディアが今回も大いに活られた。「草原」もそんな作品のひとつ。同曲では、モンゴルの大草原や太古の騎馬民族の幻想が描かれる。1944年3月に作曲者自身の指揮する日本交響楽団(現・NHK交響楽団)によって初演されたが、戦後はほとんど演奏されていない(2017年の下野竜也指揮東京フィルの演奏があるくらい)。今回、その幻の作品が息子の指揮によって蘇る。尚忠は最晩年に日響との最後の定期公演でブルックナーかされると思われる。オペラの演奏に関しては右に出る者のいない河原忠之のピアノも、この企画にはうってつけ。岩田は「ナマの肉体で歌う歌手が、一台のピアノでその奇跡を起こすリートの演奏こそ、最も純粋な演劇であろう」と語る。オペラとリート、両方5/9(金)19:00 東京文化会館(小)問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jpの交響曲第9番を指揮した。この日のプログラムはまさに忠明が父に捧げるものだといえよう。のジャンルで活躍を重ねる西村悟だからこそ拓ける、新しいドラマの世界が描かれることになるだろう。また、当日はダンサーの細田琴音も出演予定。歌・ピアノ・ダンスとドラマが一体となった、ある種の「総合芸術」作品になるにちがいない。尾高忠明(指揮) 読売日本交響楽団熟練のタクトが導く至高のブルックナー奥深きリートの魅力を描き出す
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