生徒ばかりではないが、やっていくうちにみんな数カ月でできるようになるという。高校生の持つポテンシャル、そして、若さのなせる業だろう。 一方、万織の後を継いで2025年度の部長となった坂野あすか(取材時点で2年生/打楽器担当)は言う。「私は姉が大西学園の吹奏楽部にいたので、演奏スタイルは知っていました。打楽器なので、管楽器に比べるとフラフープを回すのは簡単でしたけど、苦手なダブルダッチに苦労しました。最初は縄に引っかかりすぎて落ち込みましたが、『絶対やってやる!』というマインドで克服しました」 2024年度の大西学園は結果も残してきた。 吹奏楽コンクールでは18人で東関東大会B部門(小編成)に出場し、金賞を受賞した。B部門は30人まで出場できるので、その中でも大西学園は人数が少ないほうだったが、最上位大会である東日本学校吹奏楽大会(東日本大会)出場まであと一歩と迫る結果だった。万織は言う。「東日本大会に出られる代表は3校。表彰式の後、僅差で代表を逃したことがわかり、『くっそー!』とみんなで悔しがりました」 続くマーチングコンテストでも東関東大会に出場した。こちらは最大81人まで参加できるA部門。習志野高校や市立柏高校などの強豪バンドも出場する大会に大西学園は22人で参加。銀賞を受賞した。ドラムメジャー(マーチングの指揮者)を務めたあすかはこう振り返る。「まわりの大人数の学校との差がすごかったですけど、だからこそ大西学園はオンリーワンだし、広いスペースで動き放題。一人ひとりの役割も大きいので、『自分はここにいていいんだ。自分の存在も大事なんだ』と実感しながらマーチングができます。それが良い結果につながったと思います」♪♪♪ 極めつけは、今年1月に開催された全日本ブラスシンフォニーコンクールだ。75人まで出場できる大会に18人でエントリー。全国大会常連校も出場する中、曲芸演奏や踊り吹きを取り入れた4曲を披露し、なんと最高賞であるグランプリ・文部科学大臣賞に輝いたのだ。万織はこう語る。「まさかグランプリをもらえるとは思っていなかったので、私も驚きました。ただ、よく『少人数なのに』とか『少なくて大変そう』と言われますけど、私たちは数なんか関係ないと思っています」 少子化の影響もあり、部員数の減少に悩む吹奏楽部も多いだろう。そんな中、大西学園は「小編成の希望の星」になりつつある。あすかは言う。「少人数バンドの先駆けになりたい。少なくてもすごいことができるんだよ、楽しいんだよ、ということを発信していかれたらと思っています」 吹奏楽の持つ懐の深さ、機動性、多様性を生かし、「小編成は不利」という常識にとらわれずに活動する大西学園。今後の活躍ぶりに要注目だ。♪♪♪拡大版はぶらあぼONLINEで!→45左より:栗原万織さん、坂野あすかさん
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