eぶらあぼ 2025.5月号
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 神奈川県川崎市の大西学園中高等学校吹奏楽部は、唯一無二の演奏スタイルを持つバンドだ。 もっとも特徴的なのは「曲芸演奏」。なんと一輪車に乗ったり、ダブルダッチ(交互に回転する2本の大縄跳びを複数人で跳ぶ)をしたり、フラフープを回したりしながら演奏するのだ。大きく体を動かすと、管楽器は口元のアンブシュアが崩れてしまったり運指ができなくなったりしそうなものだが、大西学園の「曲芸演奏」は曲芸をしながらもきちんと演奏できているところがすごい。 また、「踊り吹き」も名物だ。これは北海道で盛んな「ダンプレ」に近いもので、《フレンド・ライク・ミー》《シング・シング・シング》《おどるポンポコリン》などを演奏しながら激しいダンスをおこなう。《シング・シング・シング》は京都橘高校吹奏楽部の振り付けを元にした、京都橘公認のパフォーマンスだ。 これまで全国各地で数百のバンドを取材してきた筆者から見ても、大西学園の独創的なスタイルは他に類を見ない特別なものだ。44 大西学園の演奏スタイルは、「吹奏楽を知らない一般のお客さんにも楽しんでもらえるものを」という思いから顧問の吉川勇児先生が編みだした。 2024年度の部長を務めた打楽器担当の栗原万織(まお)(2025年3月末の取材時点で3年生。現在は大学に進学)はこう語る。「体を動かすのが好きだったので、マーチングをやっている大西学園に入りました。でも、曲芸演奏や踊り吹きのことは知らなくて。最初に聞いたときは『えっ、マジか!?』と驚きました。フラフープも回せなかった自分には出る幕はないかなと思いましたが、3年間続けているとすっかり当たり前のことになってしまいました」 吹奏楽部に集まってくるのは決して運動が得意な♪♪♪Vol.33 大西学園中高等学校吹奏楽部「曲芸演奏」に「踊り吹き」!唯一無二のエンタメバンドは小編成の星になる取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)

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