eぶらあぼ 2025.5月号
44/137

Information青森オペラ《愛の妙薬》5/24(土)14:00 弘前市民会館□ さわかみオペラ芸術振興財団0570-023-223https://sawakami-opera.orgさわかみオペラのキャスティングオーディションで審査をするヴィンチェンツォ・デ・ヴィーヴォ氏喜多方で《愛の妙薬》の合唱指導をする武井基治氏(中央)するという盛況ぶりだ。この合唱団コーロ・インダコ(イタリア語で藍)のメンバーも70人を超えている。ローマ歌劇場やボローニャ歌劇場などイタリアの主要歌劇場で芸術監督を歴任したヴィンチェンツォ・デ・ヴィーヴォ氏は徳島公演の様子を初めて目にしたとき「これがオペラの未来の姿だ」と呟いたという。「さわかみオペラは、ごく普通の人に“オペラに出演する”という特別な体験を提供し、プロとアマチュアが一体となって一つの舞台を創り上げることに成功している。地方でのオペラの普及に貢献するとともに、世界的にも類を見ないこの取り組みは、国際的に見ても参考になると言えます。地方に暮らす人が音楽を生活の一部とすることで、次世代にもオペラ文化を継承していくでしょう」 事実、この取り組みは徳島を皮切りに、喜多方「酒蔵オペラ合唱団」、南魚沼「南魚沼オペラ合唱団うたのみ」、那智勝浦「TUNA GOOD(ツナぐ)」と拡大を続け、2024年春には青森県弘前市で「コーロ・クアトロミッレ」が誕生する。その名はイタリア語で4000年という意味を含み、かつて縄文文化が花開いた土地に由来している。 2025年5月、この弘前の地に上記の全国の合唱団が集結し、オペラ《愛の妙薬》を上演するという。このために、それぞれの地域においても同じ《愛の妙薬》を共通の演目として上演し、練習を重ねてきた。遠く離れた地に暮らす人々が、同じ思いを胸に日々切磋琢磨を積み重ね、ついに弘前の地で邂逅する。まさに前例のない試みだ。 さわかみオペラ芸術振興財団の理事長を務める澤上篤人は次のように語る。「年に一回、プロの歌手を連れてきて公演をするだけでは、一時的な盛り上がりに終わってしまい本当の地域活性化には繋がりません。やはり地元の人が心から楽しむことが何よりも大切です。すると人が集まってくるようになり、人が集まれば今度は経済も活気づいていく。そうして真の意味での“活性化”が始まっていくのです」 このオペラを通じた稀有なチャレンジは、全国に新たな結びつきを芽生えさせ、これまでにない地域活性化のモデルとなっていくに違いない。41

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る