いです。ホルンの多彩な表現が、若い世代にも注目されつつあると実感しています。お客様にも「ホルン推し」の方が増えてきていると思います。――お二人は今後、どのような活動を大切にしていきたいですか?ドール オーケストラだけでなく、室内楽やソロのレパートリーを増やし、新しい作品を育てることが重要だと考えています。現代の作曲家たちは、すでに1960年代から1980年代の作曲家とは、もう違ってきていると感じます。彼らは「聴衆を一緒に連れて行こう」という思いを強く持っているのです。例えばイェルク・ヴィトマンの作品は引用や演劇的要素などの新しさと、伝統的な音楽の深みとが共存していますね。そうした作品を大切にしていきたいです。私は毎年少なくとも1曲は、世界初演を行うことを目標にしています。福川 新しい音楽を未来に残すことは、僕らの使命だと思います。今僕たちが演奏しているモーツァルトのホルン協奏曲も、当時はそれが「現代音楽」だったし、ロイトゲープという名ホルン奏者がいたからこそ生まれた作品です。影響力のある奏者がいることで、素晴らしい作品は誕生します。その意味でも僕は、現代の作品が100年後に残されているように、積極的に活動していきたいと思っています。クラシックの長い歴史の中で、良い作品は必ず残っていくはずです。――最後に、このサミットへの想いを一言。ドール このコンサートは、ホルンの未来を切り拓く企画です。世界最高峰の奏者たちの響きを、ぜひ体感してほしいですね。福川 僕自身、演奏を通じて素晴らしい出会いをしてきました。このサミットも、多くの方にとってホルン、そして音楽の魅力に出会う機会となれば嬉しいです。39InformationORCHARD PRODUCE 2025福川伸陽 共同プロデュースワールド・ホルン・サミットWith オーケストラ 7/12(土)19:00サミットアンサンブル 7/19(土)19:00Bunkamura オーチャードホール□ Bunkamura 03-3477-3244 https://www.bunkamura.co.jp※公演により出演者、プログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。他公演7/15(火) 東海市芸術劇場(愛知室内オーケストラ052-211-9895)7/18(金) 大阪/ザ・シンフォニーホール(キョードーインフォメーション0570-200-888)7/20(日) 高崎芸術劇場 音楽ホール(027-321-3900)ホルン音楽の今と未来――プログラムは、ホルンとオーケストラの作品のほか、ワーグナーやラヴェル作品の編曲も並び、バラエティに富んだ内容となっていますね。福川 まずは僕自身が皆さんの演奏で聴きたい曲を考え、それをお客様にも楽しんでいただけるよう構成しました。ドール 素晴らしいプログラムですね。ホルン奏者は朗らかな人が多いので、選曲の過程も建設的でした。もし次回があれば、日本人作曲家に委嘱するのも面白そうですね。福川 ぜひやりましょう!――来場するお客様にはどんな点に注目してほしいですか?ドール ホルンを演奏している方はもちろん、これまで馴染みのなかった方にも、この楽器の魅力を知ってほしいですね。これだけの名手が集まり、ホルンの響きを堪能できる機会は滅多にありません。福川 ホルンは表現力が豊かで、多彩な音色を持つ楽器です。奏者それぞれに違った個性もありますし、音楽家としての表現力を存分に味わっていただきたいです。――トップ奏者であるお二人は、現代のホルン音楽シーンをどう捉えていますか?ドール オーケストラの演奏会で取り上げられる協奏曲といえば、ヴァイオリンやピアノが中心ですが、今回も出演するサラ・ウィリス(ドールと同じくベルリン・フィルのホルン奏者)の活動などが、若い世代にホルンの魅力を広める上で大きな役割を果たしてきました。ホルン音楽の存在感は今、どんどん高まっていると感じています。福川 教育プログラムの現場では、子どもたちはホルンもピアノも平等に聴いてくれますね。現代音楽を「いろんな音がして面白かった」と感じる子も多
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