eぶらあぼ 2025.5月号
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上野 僕は、生まれ育った家の目の前が常磐線の線路だったので、音楽に出会うより前から鉄道が好きでした。乗るのも好きですが、鉄道模型も集めています。市川 小さい頃から乗り物全般が好きで、鉄道の路線図を見るようになりました。私はアメリカ育ちだったので、最初はアメリカの鉄道ですね。鈴木 中学生のとき、鉄研(鉄道研究会)では物足りない同級生が作った鈍研(鈍行研究会)に入りました。中高生の頃は、休みのたびに青春18きっぷを買って旅行していました。全国のJR路線の8割くらいは乗ったと思います。――今回のコンサートの聴きどころは、どんなところでしょうか。鈴木 まず、森下くんに19世紀フランスの作曲家、アルカンの練習曲「鉄道」を弾いていただきます。森下 超絶技巧で有名なアルカンですが、この作品も非常に難しいエチュードです。かなり描写的で、汽笛の音とか鉄橋を渡るシーンなど、聴くとわかりますよ。鈴木 耕平くんには列車のモーター音をサックスで演奏してもらいます!上野 モーター音みたいな音が出てくる曲があるんです。鈴木 「駅メロディによる即興曲」もあります。それから、歴代の新幹線のチャイムの演奏もします。“黛チャイム”の生演奏もあります。市川 えー、怖っ!一同 (笑)上野 国鉄からの委嘱で黛敏郎さんが作られたものの、評判が悪くて2、3年で使われなくなったんですよね。市川 前衛的過ぎて、ちょっと怖い音楽なのです。カッコいいんですけど。鈴木 クラシック・ファンにとっては、黛さんが作ったというところが垂涎ポイントです。そのほか、“元祖鉄道オタク”のドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」をサックスで演奏していただきます。上野 今回演奏するのは、皆さんご存知の第2楽章〈家路〉です。市川 我々の番組『×クラシック』のエンディングで毎週流れている曲です。このコンサートに来たら、生で全曲聴けますよ!鈴木 そして最後に、挾間美帆さんに新編曲していただいた「Take the “A” Train(A列車で行こう)」を発表したいと思っています。廣津留さんには、この作品のほか、発車メロディや新幹線チャイムにも入ってもらいます。――ちなみに、皆さん、好きな路線や電車は?市川 都内でしたら、都営浅草線が好きですね。車両がカッコいいし、乗り入れのために線路幅を合わせたりしているのです。全国でいうと富山地鉄かな。上野 僕は、名鉄。名古屋駅の特別車専用ホームのベンチでコーヒー片手に電車を眺めている時間が好きです(笑)鈴木 最初の旅で行った只見線の景色が忘れられないですね。あと青森県の五能線!森下 僕は東急世田谷線が好きですね。――音楽祭全体にも、鉄道が関わっているそうですね。鈴木 今回の音楽祭は、本当にこの鉄道コンサートを軸に全部を組み立てたといっても過言ではありません。実は、オープニング・コンサートでも、挾間さんの「Take the “A” train」をぱんだウインドオーケストラや市内の学校の吹奏楽部の皆さんと吹奏楽版で演奏します。上野 さらに、オープニング・コンサートでは、鉄道関連の曲で酒井格さんの「I Love the 207」という作品も演奏します。207とは、JR西日本の207系という車両のことなんです。どんな曲か、お楽しみに!鈴木 弦楽四重奏の演奏会にも、やはりドヴォルザークの「アメリカ」を入れたりしています。今年のテーマは『Journey Through Music! 音楽の旅へ!』ですが、調布へちょっと旅をして音楽を聴きに行くというのは素敵なことだと思います。ぜひ、調布国際音楽祭にお越しください! 期間中、この他にもバッハ・コレギウム・ジャパンのヘンデル《ロデリンダ》上演、ベルギーの声楽アンサンブル「ヴォクス・ルミニス」の初来日公演、フェスティバル・オーケストラによるストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」など、調布でしか聴けないプログラムが多数用意され、文字通り音楽ファン・鉄道ファンの期待に応える9日間となりそうだ。33Information調布国際音楽祭20256/21(土)〜 6/29(日) 調布市グリーンホール、調布市文化会館たづくり、調布市せんがわ劇場、深大寺本堂 他□ チケットCHOFU 042-481-7222https://www.chofumusicfestival.com※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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