eぶらあぼ 2025.5月号
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コンサートギャラリーNew Release Selection新譜情報BooksぶらPAL海外公演情報今月の注目公演©Yuuya Hamai©Sho Yamada山下一史©ai ueda119文:近松博郎掲載している公演の最新情報は、それぞれの主催者のホームページなどでご確認ください。隠岐彩夏は歌曲や宗教音楽のソリストとして幅広いレパートリーを誇る。シューマンの歌曲研究により東京藝術大学で博士号を取得し、ニューヨークで研鑽を積んだ才媛だ。その彼女による近代イタリア歌曲の粋を集めたリサイタル。作家でもあったレオンカヴァッロ作詞作曲の〈朝の歌〉、マスカーニ〈セレナータ〉など、ロマンティックな作品群への鋭いアプローチが期待される。共演は東京二期会ピアニストの木村裕平。バロックから現代音楽までしなやかに歌い分けるソプラノ歌手・谷村由美子のリサイタル。演目には彼女らしい多様な作品が並ぶが、ラヴェル生誕150年を記念して取り上げられる「マダガスカル島民の歌」は表現主義的傾向と原始的な官能性が入り混じる難曲で、生で聴ける機会は貴重だ。共演者に辰野翼(ピアノ)、若林かをり(フルート)、福富祥子(チェロ)という実力者を迎え、万全の態勢で本番に臨む。ウィーンで長く活動し数々の巨匠指揮者たちと共演を重ね、1961年ジュネーヴ国際音楽コンクール2位入賞(1位なし)という歴史的快挙を誇るピアニスト・深沢亮子。2023年にデビュー70周年記念公演を終えた後もそのペースは緩まない。変奏曲に重点を置いたプログラムは当時の慣習に近く、それを幻想曲とソナタで囲む構成は極めて端正。モーツァルトを知り尽くした深沢による真摯な演奏を心ゆくまで楽しめる。クラシックにとどまらず多彩な分野での活躍を見せている大塚茜。2021年から毎年開催している日本製鉄紀尾井ホールでのリサイタルの第5弾となる。すでに2回バロック音楽を特集しており、同ジャンルに対する彼女の思いの深さが窺える。今回は弦楽作品に埋もれがちなヴィヴァルディのフルート協奏曲にフォーカスし、その魅力に迫る。古楽とモダンの双方に通じた第一級の奏者たちとともに、創意あふれる演奏を聴かせてくれるはず。県内唯一のプロ・オーケストラ千葉交響楽団は音楽監督の山下一史の主導により定期演奏会に旬のソリストを招き、魅力的なプログラムを聴かせている。今回は上野通明2021年ジュネーヴ©Seiji Okumiya国際音楽コンクール・チェロ部門の日本人初優勝で注目を浴びた俊英・上野通明を迎え、スペイン家系であるラロの情熱的な協奏曲を披露。シューマンの交響曲第3番「ライン」でもロマン派管弦楽曲の壮麗な旋律と音響を堪能させてくれるはず。フォルテピアノとモダンピアノを駆使し古今東西の垣根を超えた作品への挑戦を続ける飯野明日香。今回の公演は前半に21世紀のピアノ・ソロ作品、後半に今井顕、宮谷理香と共演する古典派から現代までの2台ピアノ用作品を配するという意欲的なプログラム。新実徳英への委嘱作世界初演も含まれ、観客を音楽誕生の場の最前線へと立ち会わせる。新しいピアニズムを開拓し続ける彼女の今後を注視したい。Vollmond Presents リサイタルシリーズ vol.9隠岐彩夏(ソプラノ)谷村由美子(ソプラノ)~時をかさね、歌をかさねて~深沢亮子(ピアノ)大塚 茜(フルート)Akane on Baroque 2025千葉交響楽団 第119回 定期演奏会飯野明日香(ピアノ) Parfum du Futur vol.25 & I’Espace vol.105/17(土)14:00 Hakuju Hall5/18(日)14:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ5/24(土)14:00 東京文化会館(小)5/6(火・休)14:00 日本製鉄紀尾井ホール5/17(土)14:00 市川市文化会館5/21(水)19:00 東京文化会館(小)月の5

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