eぶらあぼ 2025.4月号
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横山幸雄 ©ZIGEN高関 健松田理奈 © Akira Muto古海行子キンボー・イシイ ©白土吉枝79文:林 昌英 2021年春に名称を変更して、今春で5年目に入る「富士山静岡交響楽団」。そのシーズン開幕となる5月定期は、首席指揮者の高関健が登場し、ロシアとソヴィエトの名作曲家たちのプログラムを聴かせる。 前半は民族的な香りを味わう。まず、ロシア音楽の祖、グリンカの「スペイン序曲第1番」。「ホタ・アラゴネーサ」の陽気な旋律と打楽器のリズムが楽しい一篇だ。続いて、グラズノフのヴァイオリン協奏曲。後期ロマン派の甘美な作風による、濃厚な情趣とヴァイオリンの魅力あふれる一曲で、舞曲的なフィナーレにはバラライカを模した奏法も現れる。ソリストは早くからソロ活動を展開し、近年ますます充実の度を深める松田理奈。本作は彼女が熱望したとのことで、楽団のウェブサイトにもその意気込みのほどが掲載されており、大いに期待したい。 後半は一転して重厚に。ソ連の体制に翻弄されながらも生き抜き、今年没 「アルテリッカしんゆり」は小田急線新百合ヶ丘駅周辺を中心に行われている春の芸術祭。オペラにバレエ、オーケストラにピアノ、演劇や伝統芸能といった多様なジャンルのアーティストが集う世界的にも稀なイベントであり、老若男女問わず楽しめる。 第17回の今年は4月6日から5月11日まで、川崎市内8会場を舞台に開催。2025年が昭和100年にあたることから、テーマは「今、生きる昭和」に。公演のラインナップにもそれを象徴するものが多く並ぶ。まずは能・狂言の人間国宝による「友枝昭世と山本東次郎の至芸」、人間国宝・五街道雲助と初音家左橋による「落語二人会」、そして市川崑総監督による戦後の日本を描いた「東京オリンピック」(1965年)だ。樹木希林最後の映画となった作品を原作とする、オペラシアターこんにゃく座によるオペラ《あん》は、ハンセン病の問題を扱うも美しい音楽が生きる希望を描く。またジャ後50年を迎えたショスタコーヴィチの交響曲第10番が演奏される。スターリン没年に完成した大作で、前半2楽章は重苦しくも劇的な音楽、後半2楽章には自らの音名象徴を駆使するなど、公私にわたるメッセージを込めると同時に、シンフォニーとして堅固な構成で完ズピアニスト、国府弘子による「Piano Party」では美川憲一をゲストに迎え、昭和の名曲が奏でられる。アルテリッカならではの特別なコラボレーションだ。 もちろんクラシックも充実のラインナップ。オープニング公演ではピアニストの横山幸雄が登場、バッハをはじめとした名曲を演奏する。そのほか、第4/6(日)~5/11(日) 川崎市アートセンター、昭和音楽大学 他問 しんゆりチケットセンター044-959-2255 https://www.artericca-shinyuri.com成度も高く、かのカラヤンが唯一録音したショスタコーヴィチ作品でもある。そのカラヤンのもとで研鑽を積んだ高関が紡ぐ第10番は、いまこそ取り上げたいメッセージと、高関と静響の充実ぶりを示すものとなるだろう。静岡と浜松の2公演、注目となる。18回ショパンコンクールセミファイナリストの古海行子らが出演する「ザ・ピアニスツ —超進化形—」、キンボー・イシイ指揮・東京交響楽団のオール・ドヴォルザーク・プログラム、藤原歌劇団によるオペラ《ロメオとジュリエット》、スターダンサーズ・バレエ団による『コッペリア』など注目公演が目白押しだ。第130回 定期演奏会〈静岡公演・浜松公演〉5/24(土)13:30 静岡市清水文化会館マリナート5/25(日)13:30 アクトシティ浜松(中)問 富士山静岡交響楽団054-203-6578 https://www.shizukyo.or.jp高関 健(指揮) 富士山静岡交響楽団ロシアからソヴィエトへ 〜歴史に刻まれた音をたどって川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2025昭和100年を記念し、今年もあらゆるジャンルのスペシャリストが大集合!文:長井進之介

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