eぶらあぼ 2025.4月号
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5/10(土)14:00 高知県立美術館ホール 問 高知県立美術館088-866-80005/11(日)14:00 大阪/あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール 問 大阪新音06-6926-48885/13(火)19:00 宮城/宮城野区文化センターPaToNaホール 問 HAL PLANNING 022-262-16825/14(水)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール 問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900/空間あい090-1815-46085/16(金)13:30 横浜みなとみらいホール 問 神奈川芸術協会045-453-50805/17(土)14:00 愛知/宗次ホール 問 宗次ホールチケットセンター052-265-17185/18(日)15:00 Hakuju Hall 問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-87005/19(月)19:00 六花亭札幌本店ふきのとうホール 問 オフィス・ワン011-612-86965/21(水)14:00 18:00 静岡/札の辻クロスホール 問 札の辻クロスホール054-204-08785/26(月)18:30 くまもと森都心プラザホール 問 KABイベント096-359-9051https://yasukoohtani.com ※公演によりプログラムが異なります。詳細は左記ウェブサイトでご確認ください。左:イタマール・ゴラン 右:大谷康子 ©Masashige Ogata78文:林 昌英 「ヴァイオリン大好き!」 ヴァイオリニスト大谷康子が各所で掲げる、明快かつパワフルな宣言だ。この言葉を誰よりも体現し、関わる全員を笑顔にしてしまうようなポジティブなエネルギーを発散し続ける大谷が、今年デビュー50周年を迎えた。 記念年の幕開けを飾った1月の50周年記念演奏会は、大谷を慕う数十人の音楽家が集う大規模なものだった。その豪華さや演奏の充実に留まらず、ソロ曲よりも合奏曲が多いプログラム自体に、出会いを大切にする大谷らしさが感じられた。さらに「ファシズムと戦争の犠牲者」に捧げられたショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第8番と、空襲で破壊されたドレスデンへの思いから作られたR.シュトラウス「メタモルフォーゼン」という、記念公演には異例の2作が選曲されたことは特筆したい。現在の世界情勢、しかも自身が直接関わりのある国々も絡む複雑な状況を憂慮し、もどかしい思いを記念の場のメッセージとしたのである。音楽の喜びを追求するからこそ、それがままならない状況が世界にあることにも、音楽を通して思いを馳せ続ける。  5月には、17日間で計14公演(クローズド公演を含む)というスケジュールの全国ツアーを敢行する。共演は世界的ピアニストのイタマール・ゴラン。ベルリンでのCD録音からたびたび共演を重ねて気心の知れた名人と、満を持してブラームスのヴァイオリン・ソナタを聴かせる。第3番は全公演で取り上げ、3つのソナタ全曲と彼が愛し続けたクララ・シューマンの「3つのロマンス」を合わせたプログラムもあり、濃密な世界に浸り続ける期間となる。 ブラームスという選択は、いまの大谷に実にふさわしい。彼女自身、この作曲家について「伝統を守り、厳格な作曲技法を用いながら新しい手法も否定しない」と語る。これは彼女がMCを務めるBSテレ東『おんがく交差点』で、ジャンルも国も時代も楽器も問わず、あらゆるアーティストたちと心から楽しそうに共演する姿とも重なる。さらに付け加えれば、いかに複雑な感情がこもる作品であっても、全体では聴く人に大きな幸福感を与えるというブラームスの特長は、そのまま大谷という人間のあり方でもあるといえないだろうか。 もちろん、ピアノが殊に重要な演目だけに、ゴランという最高の名手の存在も大きく、さまざまな状況がそろうこの上ない好機となる。東京、神奈川、群馬の関東圏以外にも、愛知、北海道、静岡、熊本と、日本中を巡るツアーで披露される、大谷康子の愛するブラームス。ヴァイオリンに人生を捧げる彼女の生き様と、最高のヴァイオリン名作の魅力、各地でぜひ共有してほしい。大谷康子デビュー50周年記念大谷康子(ヴァイオリン)& イタマール・ゴラン(ピアノ) 全国ツアーこの春、日本中に咲き誇るヴァイオリンへの愛情

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