eぶらあぼ 2025.4月号
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□□□□73Interview和波孝取材・文:片桐卓也文:伊藤制子 東京藝大、パリ国立高等音楽院で学び、フランス音楽のスペシャリストとして長きにわたり活動を続けている岡本愛子。ラヴェル生誕150年の今年、ラヴェルのピアノ・ソロに室内楽作品を加えたコンサートを開催する。 ピアノ・ソロの名作「鏡」「亡き王女のためのパヴァーヌ」、さらに遺作のヴァイオリン・ソナタや歌曲集「マダガスカル島民の歌」などユニークな選曲だ。岡本はラヴェル作品の持つ多彩な面に焦点を当てている。 「鏡」の第4曲〈道化師の朝の歌〉に 70歳でベートーヴェンの協奏曲を、77歳でブラームスの協奏曲を披露したヴァイオリンの和波孝禧。80歳を迎える今年は「オール・モーツァルト・プログラム」で、再びその美しい音の世界を見せてくれる。 「ベートーヴェンなどの大作に較べてモーツァルトはやさしいと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、モーツァルトこそ、ヴァイオリニストの個性が最も試される作品だと思います」 と和波。これまでの豊富な演奏経験を踏まえて、今こそ、モーツァルトを弾きたいと考えたそうだ。 「ヴァイオリン協奏曲は比較的若い時期の作品なので、晩年に近い傑作よりちょっと軽めに考えられているようですが、モーツァルトの音楽のなかにある無邪気さ、同時に、洗練されたユーモアやちょっとしたいたずら心、それらをたくさん発見できる魅力的な協奏曲なのです」 今回は5曲あるヴァイオリン協奏曲から第4番と第5番を、そして 「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」の全3曲を演奏する。 「この協奏交響曲というのが実はとても難しくてね。変ホ長調というのはヴァイオリニストにとっては弾きにくいのですが、そこにもモーツァルトらしいアイディアを感じます。そしてヴィオは「万華鏡のように色彩豊かな音楽の中に隠れた、哀愁を帯びた影の部分を表現したい」、また反植民地主義的な内容の歌詞をもつ「マダガスカル島民の歌」については「コンセプトをラヴェルの平和へのメッセージと捉え、その思いを伝えたい」と語る岡本。 共演は、ソプラノの東城弥恵、ヴァイオリンの安田真理、フルートのピエール・モンティ、そしてチェロのダニエル・ラクローらフランス音楽も得意としている面々だ。ラヴェル・イヤーにおいて、とりわけ印象深い演奏会になることだろう。ラの演奏は若手の笠井大暉さんにお願いしました。今井信子さんの推薦で、とても素晴らしい演奏家だと伺ったので、今回が初めての共演となりますが、今から一緒に演奏するのが楽しみです」 この公演のための80歳記念 室内オーケストラには、和波の友人、弟子たちが参加して、気心の通ったアンサンブルを届けてくれる。 「僕がこれまでの演奏家人生で感謝しているのは小澤征爾さん。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)にずっと呼んでくれて、難しいオペラの演奏にも加わることが出来ました。そのつながりで、今はSKOアドバイザリー委員会に所属していますが、最近では沖澤のどかさん指揮の《フィガロの結婚》の上演にも参加しました。モーツァルトのオペラは想像以上に長く、レチタティーヴォもあって、点字の譜面がすごい厚みになるのですが、そうした苦労を乗り越えて音楽作りに参加すると、モーツァルトの真5/5(月・祝)14:00 東京文化会館(小)問 新演コンサート03-6384-2498https://www.shin-en.jpの音楽性が身体の中に入ってくるような気がします。その経験を今回のオール・モーツァルトの演奏会にも活かしたいです」 東京文化会館の小ホールという空間も、モーツァルトにふさわしい音響だ。年齢を感じさせない感性と情熱で音楽に向かう、和波の姿を目に焼き付けたい。80歳記念コンサート 和波孝禧 モーツァルト協奏曲の夕べ4/11(金)19:00 東京文化会館(小)問 AMATI 03-3560-3010 https://www.amati-tokyo.com80歳を迎える今だからこその純粋なモーツァルト岡本愛子ピアノリサイタル 〜ラヴェル生誕150年記念〜ユニークな選曲で映し出す作曲家の肖像禧 (ヴァイオリン)

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