4/18(金)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227 https://art.nikkei.com第557回日経ミューズサロン クリストフ・コワン チェロ・リサイタル古楽界の重鎮による深奥なるブラームスクリストフ・コワン左:坂本 彩 右:坂本リサ ©Keishi Asayama金子陽子66取材・文:原 典子文:矢澤孝樹 クリストフ・コワン! 年季の入った古楽ファンなら反応せずにはいられない、伝説のチェロとヴィオラ・ダ・ガンバの名手だ。アンドレ・ナヴァラに学んだ後、ニコラウス・アーノンクール、ジョルディ・サヴァール、クリストファー・ホグウッドと、全く個性の異なる巨匠たちに師事、または共演。かつての古楽の世界の派閥の壁を越え、幅広く活躍してきた。自らもリモージュ・バロック・アンサンブルを率い、かつモザイク四重奏団を結成、鮮烈なピリオド楽器弦楽四重奏を聴かせてくれた。 2021年、ARDミュンヘン国際音楽コンクールピアノデュオ部門において、日本人のデュオとして初の第3位入賞、併せて聴衆賞と特別賞を受賞した坂本彩&坂本リサ。今もっとも注目される姉妹デュオがHakuju Hallのリクライニング・コンサートに登場、ピアノ連弾作品を集めたプログラムを届ける。リサ「Hakuju Hallの響きと雰囲気はやはり格別なので、まるで天国のような空間でリラックスしながらお楽しみいただけるプログラムを考えました。ドビュッシーの『小組曲』以外はすべて、今回はじめて披露する作品になります。なかでもシューベルトの『大ソナタ D617』はドイツ留学時代にレッスンを受けてから、私たちがずっと憧れていた作品です」彩「シューベルトはピアノ連弾のためにたくさんの作品を残していますが、このB-Dur(変ロ長調)の響きがとくに澄んでいて美しいと感じます。第1楽章は希望に満ちていて、第2楽章は歌曲のようで、まさにシューベルトらしさ全開。連弾は響きのバランスを作るのが難しいジャンルではありますが、彼の作品は私たちの音楽性に合っていると思うので、ぜひお聴きいただきたいです」 プログラム前半には、カラフルな小品が楽しいビゼー「子供の遊び」(抜粋)のほか、ドビュッシーの「6つの古代 半世紀に及ぶキャリアのコワンが、チェリストとして来日し、ドイツ・ロマン派の作品を聴かせてくれる。メンデルスゾーンとブラームスはもちろん、ショパンとほぼ同時期にポーランドに生まれ、やはり早世したチェロ奏者にして作曲家・グロスの「セレナード」も楽しみだ。さらに共演は、パリでモダン・ピアノとフォルテピアノ双方で活躍する金子陽子。こんな機会はまたとない!のエピグラフ」と「小組曲」が並ぶ。彩「『小組曲』はヴェルレーヌの『艶なる宴』、『エピグラフ』はルイスの『ビリティスの歌』と、どちらも詩との密接な関係性をもつ作品ですが、作曲された時期が大きく異なるがゆえの透明感や陰影、音楽の奥行きの違いを感じます。『小組曲』は繊細なタッチで描かれた優雅な絵画を見ているような、『エピグラフ』は詩の世界にそのまま入っていくような気持ちで弾いています」 姉の彩が6歳、妹のリサが4歳のときからピアノ・デュオをはじめたものの、東京藝術大学大学院を修了するまでソロで研鑽を積んでいたふたり。その後、ドイツ留学を機にピアノ・デュオ科に入学し、本格的にこの世界に飛び込んだ。リサ「私がプリモ、姉がセコンドという役割は子どもの頃から変わりません。ハーモニーを作るのが好きな姉が音楽の波を生み出し、その響きに包まれて、私が自由に歌わせてもらっています」彩「私たちはもともと性格も演奏スタイルもまったく違うのですが、デュオとして一緒に演奏すると、凹凸がピタッとはまるような感覚があります。ひとりだとできない表現も、ふたりになると何倍にも何十倍にも掛け合わされて、どこまでも理想を追い求めることができる。ふたりが似ていなくてよかったなと思います」 親しみやすく、奥が深い連弾の魅力が詰まった1時間をお楽しみいただきたい。第178回 リクライニング・コンサート 坂本 彩 & 坂本リサ(ピアノ連弾)5/23(金)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jpInterview坂本 彩 & 坂本リサ(ピアノ・デュオ)デュオになると、どこまでも理想を追い求められる
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