eぶらあぼ 2025.4月号
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佐藤晴真 ©Seiichi Saito左より:広上淳一 ©Masaaki Tomitori/中村恵理/宮里直樹 ©FUKAYA Yoshinobu/auraY2小山実稚恵 ©Hideki Otsuka小林研一郎 ©山本倫子大谷康子 ©Yukisuke Fushimi57文:室田尚子文:原 典子 日本フィルがフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一と新シリーズ「オペラの旅」をスタートさせる。「衣裳と照明、演出のついたセミ・ステージ形式の上演で、サントリーホールという極上の音響を持つホールで創り出す“音の空間”を楽しんでほしい」と広上。 今回取り上げるのは、ヴェルディ中期の代表作のひとつ《仮面舞踏会》。18世紀スウェーデンの啓蒙君主であるグスタフ3世の暗殺事件を元にした物語で、陰謀渦巻く宮廷を舞台に、恋愛と裏切りが交錯する傑作だ。音楽は、独立して演奏されることも多い充実した序曲、そしてドラマティックなアリアや二重唱があり、セミ・ステージ形式で聴くのには適した作品といえる。演出を手がける高島勲は「同じ中期の《椿姫》や《リゴレット》などとは違い、悲劇ではあるものの最後に“赦し”という希望の光がある。悲惨な戦争が続く現代の社会情勢の中で、この作品を上演することの意味を感じてもらえるような演出に 軽井沢に遅い春が訪れる4月末からゴールデンウィークにかけて、開館20周年を迎える軽井沢大賀ホールで「2025春の音楽祭」(全6公演)が開催される。4月27日に宮川彬良指揮シエナ・ウインド・オーケストラによる『宇宙戦艦ヤマト』コンサートで華々しく開幕し、29日は今年デビュー40周年を迎える小山実稚恵による「ベートーヴェン後期三大ソナタ演奏会」。小山は2021年にリリースした同プログラムのアルバムを軽井沢大賀ホールで録音しているだけに、特別な演奏会となるに違いない。 5月3日には小林研一郎指揮、東京フィルハーモニー交響楽団が登場。今年デビュー50周年の大谷康子をソリストにチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と、ベートーヴェンの交響曲第7番というパワフルな名曲プログラムだ。5月4日は毎年恒例の「軽井沢チェンバーオーケストラ」。小川響子(ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)、上村したい」と意欲を見せる。 アメーリアの中村恵理、リッカルドの宮里直樹、レナートの池内響など新しい世代を代表するソリストが集結。合唱は東京音楽大学の学生が担うが、広上は「プロの演奏家と学生によるコラボレーションから生まれる響きにも注目4/26(土)、4/27(日) 各日17:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp文乃(チェロ)をはじめ国際的に活躍する若手が集結する室内オーケストラだが、今年は佐藤晴真をソリストに迎えてさらに豪華に。C.P.E.バッハのチェロ協奏曲第3番やポッパーの演奏会用ポロネーズといったチェロの名曲のほか、ヴィヴァルディの「四季」、メンデル4/27(日)~5/6(火・休) 軽井沢大賀ホール問 軽井沢大賀ホールチケットサービス0267-31-5555 https://www.ohgahall.or.jp※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。してほしい」と語る。これまで日本フィルはあまりオペラに縁がなかったが、シリーズ化することで、より幅広い層にこのジャンルの魅力を知ってもらいたいという思いもあるそう。オペラ・ファンの裾野が広がる意欲的な企画に成長することを期待したい。スゾーンの弦楽のための交響曲第13番(交響的断章)、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番というプログラムで、みずみずしく躍動感あふれるアンサンブルの愉しみを届ける。音楽とともに軽井沢滞在を楽しんでみてはいかが?広上淳一&日本フィル オペラの旅 Vol.1 ヴェルディ:オペラ《仮面舞踏会》極上のホールで歌劇の世界にひたる新シリーズ始動!軽井沢大賀ホール開館20周年記念 2025春の音楽祭眩い新緑と上質な響きに包まれる至福の一週間

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