eぶらあぼ 2025.4月号
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森 麻季©Yuji Hori©Harald Hoffmann諏訪内晶子©TAKAKI KUMADAファビオ・ルイージ©NHKSOオレシア・ペトロヴァ©Andrey Revenko47文:山田治生文:飯尾洋一 NHK交響楽団が、2025年5月にアムステルダムのコンセルトヘボウで開催されるマーラー・フェスティバルに招かれ、首席指揮者ファビオ・ルイージとともに交響曲第3番と第4番の演奏を担う。この音楽祭でN響は、クラウス・マケラ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮シカゴ響、キリル・ペトレンコ及びダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・フィルと競演することになる。 渡欧直前の定期公演A・Bプログラムでも、同フェスティバルを含むヨーロッパツアーで演奏する2曲を取り上げる。ルイージは、これまでにN響と交響曲第8番「一千人の交響曲」で名演を残し、サイトウ・キネン・オーケストラでも第1番、第2番、第5番、第9番などで目覚ましい演奏を繰り広げるなど、マーラーを得意としている。とりわけ、第3番のような巨大な作品(マーラーの交響曲のなかで 今年も6月にサントリーホールのブルーローズ(小ホール)を舞台とした室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」(CMG)が開催される。CMGの名物企画といえば、「ベートーヴェン・サイクル」。毎回、異なる四重奏団が招かれ、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する。 今回登場するのは、2007年にドイツのケルンで結成されたシューマン・クァルテット。作曲家シューマンにちなんだ団体名かと思いきや、実は演奏者名がシューマンなのだ。マーク、エリック、ケンのシューマン3兄弟に、今井信子の薫陶を受けたヴィオラ奏者、ファイト・ヘルテンシュタインが加わる。シューベルト&現代音楽国際コンクールやボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝を果たし、ウィーン楽友協会など欧州各地の名門ホールで演奏を重ね、国際的なキャリアを急速に築いている団体だ。第一ヴァイオリンのエリック・も最長の時間を要する)は、彼の深いスコアの読みと熱い指揮にぴったりである。アムステルダムでの第3番でも独唱を務めるオレシア・ペトロヴァは、ルイージの信頼厚く、一昨年の「一千人の交響曲」に続いての登場。一方、第4番では優美な天上の音楽が描かれる。サントシューマンはソリストとしても活躍する。ちなみにシューマン兄弟の母親は日本人であり、ルーツを持つ日本での檜舞台ということになる。 シリーズは全6公演からなる。シューマン・クァルテットは初期の作品18の6曲に後年の作品の萌芽を見出し、6曲を全公演にわりふって、各作品の性格に応じた中期や後期の作品を組み合わせている。たとえば第4番ハ短調であれば、ベートーヴェンの影の部分に着目して、第11番「セリオーソ」と第14番嬰リーホールでの公演の独唱は、作品にふさわしい澄んだ歌声を持つ森麻季。 また、ヨーロッパツアー全8公演のうち、プラハ、ドレスデン、インスブルックで演奏するベルクのヴァイオリン協奏曲も、ツアーに帯同する諏訪内晶子の独奏で披露される。ハ短調を組み合わせる、といったように。好奇心を刺激する興味深いプログラミングだ。第2036回 定期公演 Aプログラム4/26(土)18:00、4/27(日)14:00 NHKホール第2037回 定期公演 Bプログラム5/1(木)、5/2(金)各日19:00 サントリーホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp[ I ] 6/11(水)19:00 [II] 6/12(木)19:00 [III] 6/14(土)19:00[IV] 6/15(日)14:00 [V] 6/17(火)19:00 [VI] 6/18(水)19:00サントリーホール ブルーローズ(小)問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 suntoryhall.pia.jp※プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2025シューマン・クァルテット ベートーヴェン・サイクル I〜VI躍進著しい名四重奏団が独自の目線で迫る楽聖の諸相ファビオ・ルイージ(指揮) NHK交響楽団輝きの序章 〜 いざ、マーラー・フェスティバルへ!

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