Vol.32 大分県立大分商業高等学校吹奏楽部ロック魂溢れる先生と部員たちの青春マーチング!取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)上野浩一先生 大分県の高校は、「吹奏楽の甲子園」と呼ばれる全日本吹奏楽コンクールに出場したことが一度もない。そんな中、毎年12月にさいたまスーパーアリーナで開催されているマーチングバンド全国大会に2020年度から5年連続で出場しているのが大分県立大分商業高校吹奏楽部だ。通称は「大商(だいしょう)」。いわば、大分の吹奏楽界の星といってもいい存在だ。 その大分商業を率いる上野浩一先生は、ダウンジャケットの左袖に全国大会出場の証である缶バッジを5年分つけている。御年65歳。すでに現役の教員としては定年退職し、今年度で再任用の期間も終わる。 上野先生は地歴公民の教員であり、吹奏楽もマーチングも経験がなかった。「大分県立三重農業高校に赴任したときに吹奏楽部を持たされたのが始まりです。それからマーチングの講習会に行き、ドリルデザイン(マーチングの動き・構成のデザイン)もできるようになって、『これは面白い』と思うようになったんですよ」 上野先生は現在も「毒」というバンドでドラムを叩く現役ロックンローラーの顔を持つ。先生のロッ40ク魂はマーチングの指導でも生きている。「マーチングには教育的な面でいろいろな効用がありますけど、それを考えてマーチングをやっているわけではないです。単に俺が好きだから。54歳で大分商業に来たとき、『教師として最後の学校だから、自分のやりたいようにやろう』と思ったんですよ。そして、マーチングは生徒たちも楽しいと感じられるものです。ロックンロール・イズ・オールウェイズ・イン・ユア・ハート。ロックもマーチングもいちばん大事なのはハートです」 そんな上野先生のもとで2024年度の部長を務めたのがホルン担当の3年生、中村美結。マーチングの♪♪♪
元のページ ../index.html#43