【 I 】4/3(木)19:00 【 II 】4/5(土)18:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com※プログラムは公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。他公演 4/2(水) 大阪/住友生命いずみホール(06-6944-1188) 4/6(日) 三鷹市芸術文化センター 風のホール(0422-47-5122)左より:クリスティアン・ベザイデンホウト ©Marco Borggreve/フライブルク・バロック・オーケストラ ©Foppe Schut高関 健 ©K.Miura第81回 ティアラこうとう定期演奏会 4/12(土)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp49高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団原点から到達した高みへ——刻まれた時間を辿るフライブルク・バロック・オーケストラ with クリスティアン・ベザイデンホウト(フォルテピアノ) I・II最前線をひた走る古楽界最強コンビによる特別な二夜文:江藤光紀文:那須田 務 今年はショスタコーヴィチ没後50年のアニバーサリー・イヤー。ここ数年、国際情勢はきな臭さを増している。時代は巡るとはよく言ったもので、ソヴィエトという政治体制の制約の下で創作を続けたショスタコーヴィチが作品に残したメッセージは一層重みを増している。 高関健は継続的にショスタコーヴィチの交響曲に取り組んでおり、常任指揮者を務める東京シティ・フィルの定期でも、2021年3月には第8番、23年3月には第7番といった大作に取り組み大きな成果を挙げた。今回は第1番と第15番、つまり真ん中から一転して最初と最後の交響曲を並べるという趣向だ。 第1番は1925年、わずか18歳にしてレニングラード音楽院の卒業作品として作曲され、初演されるや否や国際的な反響を呼んだ、いわば出世作。形式こそ伝統的な4楽章制を取っているが、そこここにモダンでグロテスクな響 この4月にヨーロッパで人気のフォルテピアノ奏者クリスティアン・ベザイデンホウトが、フライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)と来日して、トッパンホールで二日にわたる特別なプログラムを聴かせてくれる。両者はモーツァルトやベートーヴェンのピアノ協奏曲の全曲録音などを通して親密な関係を築いてきた。 プログラムは、かれらが最も得意とするモーツァルトとハイドンに、ロンドンで活躍したバッハの末息子で少年モーツァルトに大きな影響を与えたヨハン・クリスティアン・バッハの作品。初日は当初4曲だったが、モーツァルトの《偽の女庭師》序曲が追加。今年10月に25周年を迎えるホールへのFBOからのプレゼントだという。 J.C.バッハがロンドンで演奏会シリーズを始めた頃の交響曲集op.6から第1番と第6番。ハイドンはイタリア様式の第74番、モーツァルトはヴァイオリンの出だしが印象的な第29番。きが聴かれる。天才の処女作にはその作家の全てが表れるという俗諺が当てはまる。 第15番は1971年に作曲され、翌年初演された。表題性を持った第11・12番、声楽を伴う第13・14番から再び4楽章制、器楽のみの交響曲へと戻っている。いわば原点回帰だが、《ウィリアム・テル》序曲やワーグナーのオペラなど、伝統的な作品からの引用が散りばめられているだけでなく、12音技法的な処理やリズムの実験など、全体に謎めいたメッセージ性が感じられる。 当日は高関によるプレトークも予定協奏曲はモーツァルトが飼っていたムクドリのエピソードが伝えられる第17番や近年タイトルに関する新説が出された第9番「ジュノム」など。 ウィーン式アクションのフォルテピアノから繊細なタッチで薫り高い音色を引き出すベザイデンホウトと、ピリオドされているが、45年の時を経た二つの交響曲を合わせ鏡にすることで何が見えてくるのか。楽器特有の明度の高いテクスチャーと南ドイツの良質な弦の音楽性を併せ持つFBO。かのラトルにして「恋に落ちた」と言わしめたオーケストラの織りなす、軽やかで粋で華やぎに満ちた音楽は、桜の季節に格別な彩りを与えてくれることだろう。
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