eぶらあぼ 2025.3月号
42/137

パーヴォ・ヤルヴィ ©Kaupo Kikkas岡本誠司 ©Yuji Ueno赤坂智子 ©Lyodoh Kaneko河村尚子 ©Marco Borggreve伊藤悠貴 ©Ryusei Kojima第2034回 定期公演 Aプログラム4/12(土)18:00、4/13(日)14:00 NHKホール第2035回 定期公演 Bプログラム4/17(木)、4/18(金)各日19:00 サントリーホール 3/2(日)発売問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp39パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) NHK交響楽団エッジの効いた鮮やかなタクトが冴えるプロコフィエフ河村尚子が贈る音楽の旅 Vol.2 Nos Dames - 我らの女性時代の扉を開いた女性作曲家たちの肖像文:鈴木淳史文:長井進之介 4月のNHK交響楽団の定期公演では、名誉指揮者パーヴォ・ヤルヴィが2つのプログラムを振る。 12日と13日、NHKホールでのAプログラムでは、アントワーヌ・タメスティがソリストとして登場、ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」のヴィオラ独奏を弾く。繊細かつ楚々と奏でられるフレージング。もっとも美しい音色をもつヴィオリストの「イタリアのハロルド」は聴き逃せない。 プロコフィエフの交響曲第4番は、アメリカへの亡命時代に書かれた初稿ではなく、ソ連に帰国してから改訂した重量級の版による演奏だ。ヤルヴィの精悍な解釈に、世代交代が進むオーケストラが俊敏に反応、運動性に満ちた演奏を繰り広げてくれるだろう。 17日と18日は、サントリーホールでのBプログラム。ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)では、ピアノ・パートを松田華音 楽曲を深く読み解き、その魅力を研ぎ澄まされた技術と音色で語るように奏でるピアニスト、河村尚子。世界を舞台に活躍する彼女だが、その功績が認められ「第51回サントリー音楽賞」を受賞。昨年は日本デビュー20周年を迎え、記念アルバムのリリースとリサイタルが大きな話題を呼んだ。 常に技術と表現力に磨きをかけながらレパートリーを拡大している河村が、今年日本で初めて披露するのは女性作曲家の作品。サントリー音楽賞の受賞記念演奏会でエイミー・ビーチのピアノ協奏曲を演奏したことをきっかけに積極的に取り入れるようになったという。現代は多くの素晴らしい女性作曲家が活躍しているが、19世紀から20世紀にかけて、それは非常に困難なことであった。今回はそんな時代に創作を続けたイギリスのレベッカ・クラーク、ドイツのクララ・シューマン、スウェーデンのアマンダ・レントヘン=マイエルが担当するという贅沢さ。そして、重厚なブリテンのピアノ協奏曲では、ベンジャミン・グローヴナーをソリストに迎える。英国が誇るヴィルトゥオーゾが弾くブリテン作品は、大いに注目される公演になる。 こちらもプログラムを締めくくるのはプロコフィエフだ。交響組曲「3つのオレンジへの恋」は、オペラ全曲から6曲を抜粋した演奏会用組曲。なかでも、行進曲とスケルツォがよく知られていよう。颯爽に焦点を当て、デュオから四重奏曲まで様々な編成の楽曲を披露する。 室内楽奏者としても多くのアーティストから信頼を寄せられている河村。新境地ともいえるプログラムに彼女とともに挑むのは、岡本誠司(ヴァイオリ4/25(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp他公演 4/20(日) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)とした運びのなか、プロコフィエフならでのオーケストレーションを濃厚なタッチで描いてくれるはずだ。ン)に赤坂智子(ヴィオラ)、そして伊藤悠貴(チェロ)だ。いずれも世界的に活躍する奏者であり、その音色、表現力が重なり合うことで生まれる音世界は楽曲の魅力を最大限に届けてくれることであろう。

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る