シュテファン・ドール ©Simon Pauly大野和士 ©Rikimaru HottaPhoto:Steven Harris第1017回 定期演奏会Aシリーズ 3/14(金)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp37大野和士(指揮) 東京都交響楽団「ホルンの王」とともに挑むヴィトマンの“大”協奏曲旬の名歌手シリーズ― XIII リセット・オロペサ ソプラノ・コンサートいまをときめくプリマの待望の日本初ソロ・コンサート文:鈴木淳史文:山田治生 ベルリン・フィルの首席ホルン奏者、シュテファン・ドールが、再び都響にやって来る。2023年には、モーツァルトの協奏曲第4番の独奏に加え、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」ではオーケストラのなかで、その輝かしい響きを聴かせたホルンの帝王だ。 今回は、ヴィトマンのホルン協奏曲での共演となる。ドールに捧げられ、ベルリン・フィル、都響(創立60周年記念)、ブリュッセル・フィル、ルツェルン響、スタヴァンゲル響、スウェーデン放送響による共同委嘱作品の日本初演だ。 ホルンによる超絶技巧はもちろんのこと、スラップスティックなユーモアとロマンティックな音楽が入り乱れる全7楽章、40分ほどの大曲である。第2楽章はウェーバーのホルン小協奏曲の主題に基づき(ベートーヴェンの「第九」も顔をのぞかせる)、続くスケルツォ楽章では、ロッシーニ《ウィリアム・テル》、シューマン「コンツェルトシュトゥック」、 アメリカ出身のリセット・オロペサは、まさに今が旬のソプラノである。まずメトロポリタン歌劇場で人気を博し、近年は、ウィーン、ミラノ、ロンドン、パリなど、世界の一流歌劇場で活躍している。また「オペラ・アワード2024」で最優秀女性歌手に選ばれるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。日本へは、「旬の名歌手シリーズ」で2022年にルカ・サルシ(バリトン)とのデュオ・コンサートで初来日、23年にはローマ歌劇場《椿姫》でのヴィオレッタとして、そして、昨年はMETオーケストラのソリストとして訪れているが、25年4月、遂に日本での初めてのソロ・コンサートをひらく。 リサイタルでは、2つのプログラムが用意され、モーツァルト、ロッシーニ、ドニゼッティ、ヴェルディ、ベッリーニ、マイアベーア、グノーのオペラのアリアを歌う。モーツァルトは、METオーケストラの来日公演でも披露した最も得意とする作曲家の一人。彼女のよく通るオッフェンバック《地獄のオルフェ》などの引用もちりばめられる。さまざまな引用でホルン音楽の歴史を盛り込みつつ、エンターテインメント性も豊かな作品に仕上げてしまう、才人ヴィトマンならではの快作だ。チャーミングな声にとても合っている。また、《清教徒》、《夢遊病の女》、《ランメルモールのルチア》などのベルカント・オペラのアリアを歌うのも楽しみ。オロペサの華麗なコロラトゥーラを堪能することができるだろう。フランス・オペラも彼女の重要なレパートリーであり、これまでにもMETのライブビューイングでマスネの《マノン》や《ウェルテル》の舞台を見ることができたが、今回はグノーの《ロメオとジュリエット》から彼女にぴったりの〈私は夢に生きたい〉を歌う。指揮はオロペサが厚い信頼を寄せるコッラード・ロヴァーリス(管弦楽:東京フィル)。4/10(木)19:00、4/13(日)15:00 サントリーホール問 NBSチケットセンター03-3791-8888 https://www.nbs.or.jp※プログラムは公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 休憩後は、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。マエストロ大野にとって、この曲を都響で取り上げるのは意外にも初めてだという。円熟のコンビによる彫りの深い表現を期待したいところだ。
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