左より:河野ほなみさん、中野綺音さん、加耒美月さん35 現在、名誉顧問の浦川義信先生に率いられているが、基本的には部員主体で活動を進めている大濠高校。部活だけでなく進学にも力を入れているため、3年生は8月の定期演奏会で多くが引退。9月以降の大会は2年生が中心となる。 現在部長を務めているのは中野綺音(あやね)。担当楽器はトランペットだ。「中学時代も吹奏楽部でしたけど、部活もそれなり、勉強もそれなり……という感じでした。高校ではひとつのことに熱中し、全力で取り組もうと決意して活動してきました」 大濠高校では朝練は自主参加だが、毎朝5時に起き、6時半には登校して練習に打ち込んできた。その熱さとストイックさを認められてリーダーに。さいたまスーパーアリーナでの全国大会に臨んだ。「入場するとき、私が『気合い入れていくぞー!』と叫び、みんなが『おー!』と声を上げます。会場の大きさに圧倒されそうになりましたが、客席から声援が聞こえて嬉しかったです。演奏中は、みんなでつくり上げてきたショーをこの場所に持ってこられてよかったと思いました」 ユーフォニアム担当の河野(かわの)ほなみはマーチングリーダーを務めている。もともと北九州の中学校でマーチングに燃えていたが、大濠高校入学をきっかけに家族で福岡市内へ引っ越してきたという珍しい経歴を持つ。「大濠に入ったのもマーチングが目的でした。中学時代に全国大会を目指していたのに、九州大会で終わってしまい、高校では絶対に全国の舞台に立ちたいと思ってやってきました」 音楽面のリーダー、コンサートミストレスを務めるクラリネット担当の加耒(かく)美月もほなみと同様、全国を目指して大濠高校にやってきた。「私は中学時代にコンクールで全国大会を目指して♪♪♪いましたが、高校では全国という場所を見て経験してみたかったんです。今年はコンミスだったので、いい音で演奏するために基礎から徹底して練習するよう働きかけました」 綺音、ほなみ、美月の3人はリーダーとして部員たちの手本になるよう練習に取り組み、限られた時間で勉強もしてきた。そして、夢の全国大会に出場。目標は金賞だったが、結果は銀賞だった。「銀賞という結果を知ったときは悔しくて泣いたし、福岡に帰ってからも泣きました」 ほなみが言うと、美月もこう続けた。「演奏面などたくさん改革したのに点数につながらなかったことが私は悔しかったです」 すると、部長の綺音が前向きな笑みを見せた。「結果には後悔はありますけど、全国大会までの過程には後悔はありません。やれることは全部やりました!」 多忙な日々の中で青春を燃やした大濠高校。たとえ目標が果たせなくても、きっと「3つの顔」はどれもまぶしいくらい輝いていたに違いない。拡大版はぶらあぼONLINEで!→
元のページ ../index.html#38