eぶらあぼ 2025.2月号
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トレヴァー・ピノック ©Gerard Collettサッシャ・ゲッツェル©Özge Balkan阪 哲朗©Florian Hammerichスヴェトリーナ・ストヤノヴァ©Monarca Studiosアレクサンドラ・ドヴガン ©Irina Schymchak阪田知樹©Ayustetダンカン・ウォード ©Holger Talinskiヴィクトリア・ムローヴァ ©Benjamin Ealovega67【第142回】4/18(金)19:00、4/19(土)14:00 日本製鉄紀尾井ホール【第143回】7/4(金)19:00、7/5(土)14:00 日本製鉄紀尾井ホール【第144回】9/15(月・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール【第145回】11/21(金)19:00、11/22(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jphttps://kioihall.jp ※単券発売日の詳細は左記ウェブサイトでご確認ください。文:林 昌英 紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)の2025年度は、いくつもの節目が重なる。まず、紀尾井ホール開館とKCO創立の30周年。そして、22年から首席指揮者を務めるトレヴァー・ピノックが、契約を更新して第2期に入る。さらに、ホールが「日本製鉄紀尾井ホール」と名称を変え、8月からは改修工事に入り、秋以降の定期演奏会が、東京オペラシティ コンサートホールで規模を拡大しての開催となる。ピノックのもとで充実顕著なKCOが、新たな挑戦で成果を示す。 第142回定期(4/18, 4/19)は、世界的名匠となったウィーン出身のサッシャ・ゲッツェルが8年ぶりに登場。ハイドン交響曲第39番、ツェムリンスキー「シンフォニエッタ」、ベルク「7つの初期の歌」、世紀をまたぐウィーンの作曲家たちの名品。そして19世紀ドイツに移り、シューマン交響曲第4番の初稿を充実の演奏で堪能。ベルクの共演は、ウィーンはじめ欧州で活躍中のメゾソプラノ、スヴェトリーナ・ストヤノヴァ。彼女とゲッツェルは2020年のKCO出演予定が叶わず、5年を経てついに実現。特別なステージとなる。 ピノックが登壇する第143回(7/4, 7/5)は、現在のKCOの名技とホールの響きを最大限に活かす、多彩な演目。ラヴェル「クープランの墓」で精妙な音色を。そして、22年にも登場したまだ10代の俊才、アレクサンドラ・ドヴガンとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。世代を超えたアーティストたちによる名曲、特別な時間となろう。最後はピノックとKCOの機能性と芸術性が遺憾なく発揮される、メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」。改修直前のホールに、快活にして輝かしい響きが満ちる。  会場を東京オペラシティに移した第144回は、東京では9月15日の1回だけの開催。KCO客演を重ねる阪哲朗が、ヴェーバー《オベロン》序曲とメンデルスゾーン「夏の夜の夢」全曲、シェイクスピアにまつわる2つの名作で、美しいロマンにあふれた演奏を聴かせる。三宅理恵と山下裕賀の可憐な歌声も華を添える。2作の間にはコルンゴルト「左手のためのピアノ協奏曲」。ソリストはKCO初登場、レアな演目に情熱を燃やす若き達人の阪田知樹。本作の真価が明らかになる好機だ。  第145回(11/21,11/22)は若きマエストロ、ダンカン・ウォードがデビュー。ラトルに認められ、メトロポリタン歌劇場出演など、順調にキャリアを重ねる俊英。自国のブリテン「4つの海の間奏曲」、ベルクのヴァイオリン協奏曲、ブラームスの交響曲第1番という、各国「B」3人の聴きごたえ十分な名作プロを用意。さらに大きな話題は、KCO初共演の世界的ヴァイオリニスト、ヴィクトリア・ムローヴァが、日本で初めてベルクを披露すること。語り草となる名演の予感。ぶらあぼ公式Facebookhttps://www.facebook.com/BravoClassic/紀尾井ホール室内管弦楽団 2025年度定期演奏会節目重なるシーズン、名匠ピノックのもとさらなる飛躍へ2025 2

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