eぶらあぼ 2025.2月号
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クレア・チェイス ©Carrie Schneider沖澤のどか ©Felix Broede金川真弓 ©Victor Marin左より:ヨス・ファン・フェルトホーフェン ©Annelies van der Vegt/中江早希 ©Ayane Shindo/加耒 徹64第698回 定期演奏会3/14(金)19:30、3/15(土)14:30 京都コンサートホール問 京都市交響楽団075-222-0347 https://www.kyoto-symphony.jp※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。文:山田治生文:室田尚子 京都市交響楽団常任指揮者・沖澤のどかが3月、産休を経て8ヵ月ぶりに同楽団の定期演奏会に復帰する。取り上げる作品は、彼女が最も得意とする作曲家の一人であるR.シュトラウスの、交響詩「英雄の生涯」。沖澤は、2019年のブザンソン国際指揮者コンクールではこの作曲家の「死と変容」を振って優勝し、24年8月のセイジ・オザワ 松本フェスティバルの首席客演指揮者就任披露となった演奏会で同じく「ドン・ファン」と「4つの最後の歌」を指揮して大きな成功を収めた。沖澤&京響の「英雄の生涯」はかなりの名演が期待できそうだ。 3月15日公演の前半では藤倉大の「ダ ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団(ヨスコア)は、名門オランダ・バッハ協会を35年の長きにわたり率いてきた古楽界の巨匠ヨス・ファン・フェルトホーフェンを音楽監督に迎え、2022年に日本で誕生した。130名を超える団員は公募により集まったアマチュアが中心。5ヵ年計画で合唱のための大作を1作ずつ取り上げていくという壮大なプロジェクトである。初年度の23年はハイドンの名作オラトリオ「天地創造」、2回目の24年は近年とみに再評価が進んでいるメンデルスゾーンのオラトリオ「エリアス」を演奏。いずれも高い評価を得た。5ヵ年計画の折り返し点に当たる今年は、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を取り上げる。これまでの3年間でドイツ語作品に対する理解と習熟度を高めてきたヨスコア。「ドイツ・レクイエム」はそのひとつの到達点となる。 ソリストに迎えるのは、第2回公演「エリアス」でもソロを務めたソプラノの中江早希。宗教音楽からオペラ、そして現代音楽まで幅広いレパートリーを持つが、その透明感のある歌声の真価を発揮できるのは、やはり宗教曲や古楽作品だろう。その意味でも今回の登場は期待が大きい。そしてもうひとり、バリトンの加耒徹は、バッハ・コレブル協奏曲―ヴァイオリンとフルートのための」が日本初演される。この作品の作曲のきっかけはパトリツィア・コパチンスカヤからの依頼だった。本公演のソリストは活躍著しいヴァイオリンの金川真弓とフルートのクレア・チェイスが担う。3月14日は藤倉作品のかわりに陳銀淑(チン・ウンスク)がベートーヴェン生誕250年を記念して作曲した「スビト・コン・フォルツァ」が演奏される。ギウム・ジャパンでの活躍が示す通り、宗教作品に類まれな才能を発揮する歌い手である。加耒の強みは、言語に対する鋭い感覚とディクションの確かさ。「ドイツ・レクイエム」でもそうした特質が大いに発揮されると思われる。 また当日は、ブラームスの前にメンデルスゾーンの「詩篇42番 鹿が清らかな水を求めて鳴くように」の演奏が予定されている。「ドイツ・レクイエム」と同様、マルティン・ルターのドイツ語訳の聖書の詩句がテキストとなっている作品で、ブラームスがひたすら「魂の救い」を求める甘美で重厚な音楽であるのに対し2/22(土)18:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ヨスコア事務局03-3367-2451 https://www.joschor.comて、メンデルスゾーンの方は「神を賛美し希求する」この作曲家らしい純粋で静謐な作品。両作の対比を楽しむことのできるプログラムとなっている。 合唱指導に定評のある山神健志のもと徹底した練習を重ね、昨年12月にはすでに杉並公会堂で、2曲とも暗譜による試演会も行われた。近年進境著しい東京シティ・フィルのバックアップを得て、ヨス・ファン・フェルトホーフェンの古楽的なアプローチによる「ドイツ・レクイエム」がいったいどのようなものになるのか。聴き逃せない演奏会となりそうだ。沖澤のどか(指揮) 京都市交響楽団復帰後待望の初共演は“十八番”R.シュトラウスの大作でヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団 第3回演奏会ブラームス「ドイツ・レクイエム」古楽界を牽引してきた巨匠が描く二人の作曲家の“祈り”

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