©Akira Muto 58鈴木理恵子(ヴァイオリン) & 若林 顕(ピアノ) シンクロ・リサイタル Vol.2 20253/16(日)14:00 浜離宮朝日ホール問 アスペン03-5467-0081 https://www.aspen.jp他公演2/8(土) 仙台中央音楽センターIVy HALL(022-264-1846)2/14(金) 長野/佐久市佐久平交流センター(0267-67-7451)2/21(金) アクロス福岡シンフォニーホール(092-725-9112)3/9(日) 群馬/高崎シューベルトサロン(ピアノプラザ群馬コンサート事業部027-363-1262)※公演によってプログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。取材・文:長井進之介イン、シュヴァルベといった巨匠たちの音色に近くで接することができ、とくにシュヴァルベ先生からは、ハーモニーに溶け合うような旋律の歌い方、響きの作り方などを特訓していただきました。それを改めて意識することで技術的にもとても楽になってきたのです」 音色や空間づくりを大切にしてきた二人だからこその音世界がさらに充実してきているが、今回は名曲を通してより鮮やかにそれを感じることができるだろう。若林「ピアノはヴァイオリンのように自在に音程は作り出せませんが、タッチの表現や響かせ方によって音程をコントロールすることはできます。これは長く彼女のヴァイオリンと一緒にやってきたからこそ可能になったのだと思うので、とても感謝しています」鈴木「初回のリサイタルでは様々な作曲家のバラエティに富んだ楽曲でプログラムしましたが、今回はオーケストラ的な色彩感、というものを軸にした名曲ばかりを選びましたので、ヴァイオリニストにとっても、ピアニストにとっても大きな挑戦ですね。これまで何度も演奏してきた曲ではありますが、色々と構築し直しましたので、新しい表現に出会っていただけると思います。またビーバーの『ロザリオのソナタ』から〈パッサカリア〉も演奏します。無伴奏作品ですが、いくつもの要素が組み込まれた多彩な響きの楽曲なので、ぜひ耳を傾けていただければ嬉しいです」 それぞれがソリストとして活躍しながら、デュオでも精力的に演奏活動を展開している鈴木理恵子(ヴァイオリン)と若林顕(ピアノ)。調和はもちろんだが、対話によって即興性も感じさせてくれる音のやりとりは、確かな技術と厚い信頼によって生み出されてくるものである。この二人だからこそ実現できる「シンクロ・リサイタル」が2022年にスタート。3月に行われる待望の第2回では、彼らの大切なレパートリーであるモーツァルトやベートーヴェン、シューベルトといった作曲家を取り上げる。若林「今回は、これまで二人で長く一緒に弾いてきたものを集めました」鈴木「シューベルトの『幻想曲ハ長調』とベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番『クロイツェル』を中心に組んでいきました。もちろんすべてのデュオ作品に言えるのですが、今回は特にピアノが重要な役割を担う選曲になりました」 両楽器ともに高い技術と表現力が要求されるのはもちろんだが、とくに今回はピアノにオーケストラを思わせる厚みやスケールの大きさが求められる楽曲が目立つ。若林「近年、ベートーヴェンやブラームスのヴァイオリン協奏曲をデュオで弾くことにも取り組んできました。以前からピアノでオーケストラのようなサウンドを出したいという想いがありましたが、リストがピアノ1台用に編曲したベートーヴェンの交響曲などを演奏してきて、とくにこうした作品でオーケストラの役割を一手に担うことでたくさんの発見がありました。この気づきを、今度のリサイタルでも活かして演奏したいです。とくにシューベルトは冒頭から弦楽器を意識したようなトレモロが書かれています。ピアノで演奏しているということを忘れてしまうような、ひとつの“現象”として音をお届けしたいですね」鈴木「長く一緒にやってきて、オーケストラへの意識というのはずっと感じていましたが、近年は様々な楽器の音が聴こえてくるようなアプローチが一層強くなっているように思います。私自身は往年の巨匠の音色や音程感というものに憧れがあり、研究を重ねています。幸いなことにシェリング、ミルシテInterview鈴木理恵子(ヴァイオリン) & 若林 顕(ピアノ)オーケストラのような響きを感じてもらえたら
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