左より:チョン・ミョンフン ©Takafumi Ueno/ソヌ・イェゴン/五十嵐薫子 ©Seiji Okumiya/KBS交響楽団/東京フィルハーモニー交響楽団 ©Takafumi Uenoほのカルテット ©Makoto Nakagawaクァルテット・エクセルシオ47文:柴田克彦文:山田治生 2025年は日本と韓国が「日韓基本条約」を締結し、国交正常化してから60周年の節目となる。そこでこの3月、韓国のKBS交響楽団と東京フィルハーモニー交響楽団の合同オーケストラによる特別演奏会が、東京とソウルで開催される。指揮は韓国出身で東京フィル名誉音楽監督/KBS響桂冠指揮者のチョン・ミョンフン。そして両国の若き才能がソリストを務める。これは、日韓の友好関係の発展と平和の継続を願った、極めて意義深いコンサートだ。 東京フィルと20年以上ポストを持つマエストロ・チョンによる絆も深き演奏は周知の通り。一方1956年韓国放送 2024年に結成30周年を祝ったクァルテット・エクセルシオ(西野ゆか、北見春菜、吉田有紀子、大友肇)は、近年、毎年3月に第一生命ホールで新進気鋭の弦楽四重奏団との共演に取り組んでいる。次回の演奏会には、23年の大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門で第2位に入賞したほのカルテットが招かれる。 ほのカルテットは、第1ヴァイオリンが読響次席の岸本萌乃加、第2ヴァイオリンが葉加瀬太郎の「題名プロ塾」合格者で幅広く活躍する林周雅、ヴィオラが反田恭平率いるジャパン・ナショナル・オーケストラの長田健志、チェロが東響の蟹江慶行という、すでにそれぞれがプロとして活躍している個性派集団。1996年の大阪国際室内楽コンクールで同じく第2位入賞の“先輩”、クァルテット・エクセルシオとのエネスコの弦楽八重奏曲が非常に楽しみだ。公社(KBS)によって設立されたKBS響は、高水準の演奏で同国音楽界を牽引し、チョン・ミョンフンも第5代首席指揮者を務めている。今回は、両楽団と関係が深い世界的マエストロが、そのコラボからいかなる化学反応を生み出すか?が第一のポイント。マエストロはさらに広範囲のアジア・フィルを創設し、一体感十分の名演を展開しているだけに期待は大きい。 前半はモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲。2017年ヴァン・クラ3/2(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jpこの曲は、今やメンデルスゾーンのそれに次ぐ人気曲となっている名作。 そして、それぞれのグループが単独でも演奏する。ほのカルテットは得意のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲から第3番を、クァルテット・エクセルシオは、あま3/1(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.netイバーン国際コンクールで優勝した韓国のソヌ・イェゴンと、22年ジュネーヴ国際音楽コンクールで第3位に入賞した日本の五十嵐薫子がソロを弾くので、各々の才腕と稀少な競演に注目したい。そして後半はマーラーの多彩な人気作、交響曲第1番「巨人」。マエストロも得意の演目ゆえに、感動的な熱演の予感が漂う。ここは、二つの“オーケストラ=社会”が一つになった音楽を聴いて、友好関係の重要性を再確認したい。り演奏されないが、最近注目度をあげているコルンゴルトの第2番を披露する。1933年に作曲された第2番は、第4楽章がワルツで書かれているチャーミングな作品。これからの日本の弦楽四重奏を担う2団体の共演に注目である。日韓国交正常化60周年記念KBS交響楽団 & 東京フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会日韓を代表する2楽団が友好関係を示すステージクァルテット・ウィークエンド 2024-2025クァルテット・エクセルシオ × ほのカルテット結成30年を迎えた“日本代表”と若き個性派集団が競演
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