©Isabelle Françaixオスモ・ヴァンスカ ©Joel Larsonイノン・バルナタン ©Marco Borggreve43文:鈴木淳史文:片桐卓也 オスモ・ヴァンスカが作り出す音楽は、繊細にして強靭。かっちりとした構成の上に、広がりのある音楽を響かせてくれる指揮者だ。フィンランドが生んだ新しい才能と謳われた彼も70歳を超えた。二度にわたるシベリウスの交響曲全集、ベートーヴェンやマーラーの交響曲全集などの録音だけでなく、手塩にかけて育てたラハティ交響楽団との来日、読響や都響への客演で、その密度の高い非凡な演奏は日本のファンにも広く知られている。 その彼が、東京交響楽団の指揮台に立つ。北欧の序曲、ドイツのコンチェルト、そしてロシアのシンフォニーというプログラムは、ヴァンスカの魅力を多方面から浮き上がらせてくれる。 ニールセンによる珠玉の名曲、序曲「ヘリオス」を実演で聴けるのは嬉しい。太陽が厳かに昇り、眩い光を輝かせ、そして静かに地平線の彼方へ消えていく様子が、デリケートかつ大胆に描かれる。 クラシック・ギターの世界には家族、兄弟のデュオというのが意外に多いのだが、その中で最も注目すべき存在がアサド兄弟であるのは疑いのないところ。あのピアソラが彼らの依頼に応えて「タンゴ組曲」を書いたのも頷ける実力を持ち、古典的な作品だけでなく、兄・セルジオの作曲によるオリジナル曲の魅力も様々なアルバムで確認することができる。ライブでのふたりの見事なアンサンブルの世界も、おそらく世界中のギタリストが憧れるものだ。 久しぶりの来日となる4月の公演では、まず「THE GUITARIST スーパーギタリスト 夢の競演」に登場する。これにはデニス・ソンホ、沖仁 × 大萩康司 × 小沼ようすけによるトリオ「TRES」、山下愛陽(かなひ)という現在注目のアーティストたちが演奏し、そこにアサド兄弟も連なる。世代もバックグラウンドも違う奏者たちが紡ぐそれぞれの音の世界が楽しみだ。 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、イノン・バルナタンが独奏ピアノを担当。大きなスケール感がありながら洗練された音色が持ち味のピアニストだ。ヴァンスカのしっかりと組み立てられた響きのなかで、ピアノがロマンティックに息づくベートーヴェンが期 そして翌日からは、アサド兄弟単独の「ギター・リサイタル」が開催される。ピアソラ、ヴィラ=ロボス、ジスモンチ、ニャターリ、そしてセルジオ・アサドの名作が披露される。ふたりの演奏を最後に聴いたのは1999年の「オルタナティヴ・ピアソラ」だったと思うが、彼らの音を再び生で聴けるというだけで、筆者のテンションは上がっている。 アサド兄弟が音楽を担当した1994年の映画『夏の庭』(相米慎二監督)4Kリマスター版も昨年末から公開待できそうだ。 最後は、プロコフィエフの交響曲第5番。ヴァンスカの精緻なアプローチが、オーケストラの機能美をより際立たせてくれよう。さらに、激しいコントラストが作り出す濃密な表現もそこかしこから聴こえてくるに違いない。されるなど、再びこの世界的ギター・デュオに注目したい2025年である。第728回 定期演奏会 3/29(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第99回 3/30(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jpTHE GUITARIST! スーパーギタリスト 夢の競演4/24(木)18:30 日本製鉄紀尾井ホール(チケットスペース03-3234-9999)アサド兄弟 ギター・リサイタル4/25(金)19:00 日本製鉄紀尾井ホール(チケットスペース03-3234-9999)4/27(日)14:00 大阪/住友生命いずみホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)4/29(火・祝)14:00 名古屋/電気文化会館 ザ・コンサートホール(東海テレビチケットセンター052-951-9104)https://avex.jp/classics/assad2025/オスモ・ヴァンスカ(指揮) 東京交響楽団シーズンラストはフィンランドの巨匠が振るプロコフィエフ第5番アサド兄弟(ギターデュオ)ピアソラも魅了!ギター界の頂点を極めたふたりの至芸を再び
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