eぶらあぼ 2025.2月号
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左より:ヨハンナ・マラングレ ©Zuzanna Specjał/アレクサンドル・メルニコフ ©Molina Visuals/熊倉 優 ©堀田力丸/パスカル・ロジェ ©武藤 章/クリスティアン・アルミンク ©Shumpei Ohsugi左より:高関 健 ©K.Miura/ヤン・ヴィレム・デ・フリーント ©Hans Morren/金川真弓 ©Victor Marin/ジャン=クリストフ・スピノジ/ピエール・デュムソー ©Edouard Brane39□ 群馬交響楽団事務局027-322-4944 https://www.gunkyo.com※2025-26シーズンの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 客演指揮者も豪華だ。なかでも、2人のフランス人指揮者に注目したい。その1人、ジャン=クリストフ・スピノジが、吉松隆の「鳥は静かに...」、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を振る(9/20, 9/21)。古楽アンサンブルを率い、バロック音楽を刺激的に奏でつつ、モダン・オーケストラを指揮して愉悦感あふれる演奏を繰り広げる鬼才指揮者だ。 そして、パリ・オペラ座などで活躍する俊英ピエール・デュムソー。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェルのバレエ組曲「ダフニスとクロエ」第2組曲や「ボレロ」などのフランス・プログラムを披露する(10/18, 10/19)。フェリシアン・ブリュをソリストに迎えた、ワクスマンのアコーディオン協奏曲「時の島」も楽しみだ。 若手指揮者といえば、ドイツを中心に活躍するヨハンナ・マラングレにも期待が集まる。彼女が指揮する演奏会(6/22)では、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」第2組曲などのほか、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番と第2番の2曲をまとめてプログラミング。ソリストは、柔軟で鮮やかなピアニズムで魅了するアレクサンドル・メルニコフ(第1番のトランペットは名手イエルーン・ベルワルツ)というのだから、これは聴き逃せない。 一方、ラヴェルのピアノ協奏曲を弾くのは、パスカル・ロジェ。国内外で着実にキャリアを積み上げている1992年生まれの熊倉優が指揮する定期公演(7/19)で、ラフマニノフの交響曲第3番ほかと一緒に演奏される。 定期公演ではオペラもやる。ワーグナー《ワルキューレ》第1幕の演奏会形式での上演だ(26.2/21, 2/22)。指揮はクリスティアン・アルミンク。彼が音楽監督を務める広島交響楽団との共演で、ワーグナーの響きが高崎芸術劇場を満たす。渡邊仁美らの強力な歌唱陣にも期待したい。 2025-2026シーズンの群響は、さらにユニークな試みを行う。すべての定期演奏会に、日本人作曲家の作品が必ず入るのだ。たとえば、マラングレは芥川也寸志の「トリプティーク」(25.6/22)、熊倉は別宮貞雄の交響曲第4番「夏 1945年」(7/19)、デュムソーは武満徹の「弦楽のためのレクイエム」(10/18, 10/19)、飯森は西村朗の三重協奏曲「胡蝶夢」(26.3/28, 3/29)をそれぞれ指揮するといったように。80年という節目の年に、日本人作品の歴史に触れる絶好の機会だ。

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