©K.Miura常任指揮者 飯森範親 ©山岸 伸マーラー「千人の交響曲」で祝う80周年イヤー2025-2026シーズン定期演奏会の聴きどころ文:鈴木淳史 2025年は、群馬交響楽団にとって創立80周年にあたる。終戦の年の11月に発足、戦後の歴史と共に歩んできたオーケストラだ。例年にも増して、ラインナップもさらに意欲的なものとなった。 80周年を記念する特別演奏会として、マーラーの交響曲第8番が取り上げられる(11/29, 11/30)。「千人の交響曲」というタイトル通り、多くの演奏家を必要とするこの曲を演奏するのは、かねてより群響にとって大きな夢であったという。小林沙羅、森谷真理、宮里直樹、青山貴らによる歌手陣、群馬交響楽団合唱団、そしてオーケストラ・アンサンブル金沢との共演で大編成となったオーケストラ。これら総勢約400人をまとめあげるのは、常任指揮者の飯森範親だ。プログラム前半には、菅野祐悟による新作委嘱も初演する。 80周年ということで、ほかにも「8」にちなんだ交響曲が並ぶ。名誉指揮者の高関健はショスタコーヴィチの交響曲第8番(5/17)を取り上げる。大作を細部にわたってじっくりと聴かせてくれるだろう。また、ヤン・ヴィレム・デ・フリーントは、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」(26.1/25)を指揮。立体的な響きで、躍動に満ちた演奏が期待できよう。 群響と飯森範親は、3シーズンかけて2つのテーマに取り組んできた。来季はその最終シーズンを迎38える。「3つの第九」シリーズでは、これまでブルックナー、マーラーによる交響曲第9番を指揮してきた飯森が、大トリにふさわしくベートーヴェンの「第九」を取り上げる(26.3/28, 3/29)。また、「英雄の生涯」、「家庭交響曲」と続いた「リヒャルト・シュトラウス」シリーズとしては、シーズン最初の定期で「アルプス交響曲」を演奏する(25.4/19)。池辺晋一郎の「3776 メートルの年代記」、金川真弓がソロを弾くベルクのヴァイオリン協奏曲との組み合わせも魅力的だ。常任指揮者に就任して3シーズン目。飯森と群響が積み上げてきた成果が発揮される演奏会になる。80th AnniversaryOrchestra Focus
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