eぶらあぼ 2025.2月号
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N&FMF25904 ¥3300(税込)SACDSACDCDCDJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番/ペトロフ:無伴奏ヴィオラ組曲/イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」/ヒンデミット:無伴奏ヴィオラ・ソナタ團伊玖磨:歌劇《夕鶴》収録:2024年4月、横須賀芸術劇場(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00855(2枚組) ¥5500(税込)ハキム:トランペットとオルガンのためのソナタ/ヒンデミット:オルガン・ソナタ第2番/エベン:窓/ハイラー:舞曲-トッカータ/バーバー:弦楽のためのアダージョ(トランペットとオルガン編)妙音舎MYCL-00056 ¥3740(税込)モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番〜第19番ナミ・レコードWWCC-8022-4(3枚組) ¥5500(税込)114團伊玖磨:歌劇《夕鶴》(全曲)/沼尻竜典&神奈川フィルモーツァルト:弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」全6曲/クァルテット・エクセルシオビオラは歌う4 バッハイズム/須田祥子Weaving Colors/大木麻理&佐藤友紀團伊玖磨は鎌倉や横須賀に居住した神奈川ゆかりの作曲家。昨年、生誕100年を記念して神奈川フィルが横須賀で地元の児童合唱団を起用し《夕鶴》を上演、その録音が音盤化された。近年躍進著しい砂川涼子と清水徹太郎というフレッシュな二人を主役に据え、指揮の沼尻竜典がまっさらな視点から作品を見つめ直した。つうと与ひょうが感情を生々しくぶつけ合うことで、民話のオペラ化というイメージから作品を解き放ち、欲望と愛の葛藤をテーマとするドラマティックな悲恋物語として描き直す。音楽もたっぷりと呼吸する振幅の大きな演奏で、次の100年の團作品の解釈をリードする仕上がりとなった。(江藤光紀)多彩な活動が高く評価される日本の代表的オルガン奏者・大木と、東響首席奏者を経てソリストとして活躍するトランペットの名手・佐藤のデュオ・アルバム第1弾。20世紀作品が5曲収録され、内2曲がオルガンのみで奏されている。デュオ作品は彩り豊かなオルガンと美しく輝かしいトランペットが織りなす鮮やかな音世界が耳を喜ばせ、最後のバーバーのアダージョのしみじみとした情感が胸を慰撫する。深みのあるオルガン独奏の2曲も聴き応え十分で、管楽器愛好家にはとりわけ新鮮な感触をもたらす。両楽器の魅力とコラボの妙味を共に堪能できる好ディスク。 (柴田克彦)結成30年のクァルテット・エクセルシオが、モーツァルトの難曲「ハイドン・セット」を録音し、円熟の境地を披露している。第14番の冒頭から、清潔でとても美しい。第2主題も躍動する。メヌエットの半音階楽想の対位法的な絡みもきれいだ。そして終楽章のフーガも精緻で、天空を駆けるようなポリフォニー。第15番ニ短調の悲哀のデリケートな表情と内容豊かな変奏終曲、第17番「狩」の爽やかなリズムの切れ味、第18番の地味ながら豊かな声部書法、第19番「不協和音」の重苦しい序奏と弾けるような生き生きとしたアレグロの対比の妙と、滋味豊かな緩徐楽章。いずれも味わい深い。(横原千史)ヴィオラ界を名実共に牽引する須田祥子の充実ぶりを示す、痛快な無伴奏アルバムが生まれた。とにかくイザイのソナタ第3番が圧巻。ヴァイオリンでも難曲だが、さらに困難なはずのヴィオラで唖然とするほどの弾きっぷり。本作のもつ熱気と妖気を、深い音色で落ち着きさえ湛えて伝える。バッハはこの楽器のイメージ通りに端整、温かい音色で過不足なし。ペトロフはヴィオラ単体での意外な表現法の数々を楽しめる佳品。オリジナルのヒンデミットはやはり自然な佇まいで、狂気の第4楽章を含めて貫禄すらある。ヴィオラの表現の定番から限界まで、一気に楽しめる一枚だ。(林 昌英)沼尻竜典(指揮)神奈川フィルハーモニー管弦楽団砂川涼子(ソプラノ) 清水徹太郎(テノール) 晴雅彦(バリトン) 三戸大久(バス) 横須賀芸術劇場少年少女合唱団大木麻理(オルガン)佐藤友紀(トランペット)クァルテット・エクセルシオ【西野ゆか 北見春菜(以上ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)】須田祥子(ヴィオラ)

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