第554回日経ミューズサロン 中川優輝く音楽性で欧州の聴衆を魅了する俊英□□□©Susanne Diesner©kisekimichikoInterviewコンクールから巣立った若き大器がブラームスで錦を飾る44芽花 ピアノ・リサイタル中野りな(ヴァイオリン)取材・文:山田治生文:高坂はる香 ドイツのデュッセルドルフで生まれ育ち、同地のロベルト・シューマン音楽大学のジュニアコースや、ロンドンのパーセル音楽院で学んだのち、ワイマールのフランツ・リスト音楽大学で研鑽を積む中川優芽花。2021年、19歳の若さでクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝したことを機に注目を集め、特別な存在感とともに日本でも活動の場を広げているピアニストだ。 彼女が今回リサイタルで演奏するのは、ソナタを中心とした抒情性豊かな作品ばかり。モーツァルトのピアノ・ソ 2025年5~6月の第9回仙台国際音楽コンクールの開催を前にした2月15日、「開催記念コンサート」がひらかれる。この演奏会では、22年の第8回同コンクールのピアノ部門第1位に輝いたルゥォ・ジャチンがブラームスのピアノ協奏曲第2番を、そしてヴァイオリン部門において史上最年少17歳で優勝した中野りなが、同じ作曲家のヴァイオリン協奏曲を弾く。 中野は現在、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースに在籍。23年9月から1年間、ウィーン市立音楽芸術大学に留学していた。 「オーストリアには小さい時からザルツブルクのモーツァルテウムサマー・アカデミーに参加するためにほとんど毎年行っていて、そこでご指導いただいたポール・ロチェック先生に習いたいと思い、ウィーンに留学しました。ロチェック先生にはプライベートでレッスンを受けながら、大学ではカルヴァイ・ダリボル先生に師事し、力まずに響く音を出すことを学びました。ウィーンではオペラやウィーン・フィルの演奏会に出かけたり、美術館を訪れたりして、様々な芸術に触れることができたと思います」 モーツァルト、ブラームス、マーラーなど独墺系の音楽が好きという彼女だが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲ナタK.576とシューベルトの「さすらい人幻想曲」というオーストリア系作曲家、ショパンの「葬送ソナタ」、そしてショパンから多大な影響を受けたことで知られるスクリャービンの初期作品から第2番の「幻想ソナタ」という、作品同士の有機的な繋がりが感じられるプログラム。日本人離れした自由かつ柔らかな感性、クリアで美しい音色が生かされることだろう。2001年生まれ、更なる飛躍が期待される俊英の今の音楽を聴いておこう。は今回初めて演奏する。 「貴重な機会に新しいものを勉強したいと思いました。ブラームスの協奏曲はシンフォニー的ですので、オーケストラのパートもしっかり理解しなければなりません。コンチェルトに取り組む際には、オーケストラと会話をしながら演奏できるように心掛けています」 今回共演する広上淳一&仙台フィルハーモニー管弦楽団とは、22年の同コンクールで演奏をともにした。 「広上先生は、温かく迎えてくださり、私の演奏にも丁寧に合わせてくださいました。仙台フィルとは24年2月の定期演奏会でも共演し、いつも熱いエネルギーを感じます。前回のコンクールから少しでも成長した姿をお見せできるようがんばりたいです」 今後についてはこう語る。 「まだまだ知らない作品がたくさんあるので少しずつ勉強して、それぞれの楽曲が持つ魅力をお客さまに伝えられるようになりたいと思います。演奏活動も一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいです。できればまた海外で勉強したいですし、国際コンクールへの挑戦も考えています」第9回仙台国際音楽コンクール開催記念コンサート2/15(土)14:00 日立システムズホール仙台 コンサートホール問 仙台市市民文化事業団022-727-1872 https://simc.jp1/15(水)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227https://art.nikkei.com 最後に仙台国際音楽コンクールを目指す人たちへメッセージをもらった。 「仙台国際音楽コンクールでは、リハーサルを含めてオーケストラと何度も演奏できる貴重な機会が持てます。コンクールという場所ではありますが、楽しむことを忘れずに、ぜひたくさんの方にチャレンジしていただけたらと思います」
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