凛音は自他共に認める元気キャラ。面倒見がいいので結美から「ママ」と呼ばれていた。「正直、部長をやるのは自分しかいないやろうな、と思って引き受けました」 転機が来たのは凛音たちが高2になったばかりの4月9日。マーチング交流イベントの「MIX3(スリークロス)関西チャンピオンシップ」に2年生9人のみで出場したのだ。 音響機器を使ったオープニング、バッテリー(動きながら演奏する打楽器)ショー、ピット(固定位置で演奏する打楽器)アンサンブル、そして最後は全員の演奏をバックに結美が歌う《サクラ咲ケ》。マーチングとも吹奏楽とも少し違った独特の路線が評価されたのか、参加部門で第2位に。 凛音はこう語る。「泣いて笑って練習して……やっててよかったと初めて思いました。9人ではこれしかできないという内容で、技術的にもまだまだやったと思いますけど、自信がついたし、人が変わったというくらいみんなが成長できました」 結美の変化も大きかった。「中学までの習い事ではまわりとの競争が多かったので、吹奏楽部でも自分がいちばん目立たなきゃと思ってしまっていました。でも、人と競争するのではなく、お客さんに楽しんでもらうのがいちばんなんやと気づいてから、自分自身も音楽することが楽しくなったんです」 その後、新入部員が4人加入し、13人の活動に。マーチングの練習も始めた。だが、島先生は吹奏楽コンクールやマーチングコンテストなどの大会には敢えて参加しなかった。「吹奏楽やマーチングをストレートにやらない、パフォーマンスバンドとして活動していきたいと思っているんです。世界がグローバル化して何でもありになっている時代、形態にこだわらず、うちの魅力が出るパフォーマンスをしていこうと」 今年2月にはマーチングステージ全国大会に「GAIDAINISHI Performance Band」として出場。4月には「MIX3 関西チャンピオンシップ」に2回目の出場。結美の歌や踊りに加えて、ヴァイオリンが得意な部員が演奏を披露し、「THE MOST ATTRACTIVE SHOW賞」を受賞した。 また、夏の甲子園で、応援団が来られなくなった青森山田高校を奈良学園大学マーチングバンド部と合同で友情応援したのも話題になった。 そして、9月の定期演奏会で凛音や結美たち「改革1期生」は引退した。新部長に就任した2年の松本暖都(はると)は今後への決意をこう口にした。「先輩は僕たちを成長させてくれた大切な存在。これからは家族のようなこの部活を引き継ぎ、盛り上げていけるように頑張りたいです」 改革が実を結び、独自路線で輝き始めた京都外大西高校吹奏楽部。今後の活躍に期待したい。拡大版はぶらあぼONLINEで!→♪♪♪♪♪♪島良輔先生39
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