eぶらあぼ 2025.1月号
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 創部から50年以上の歴史を持ち、かつてはA部門で関西大会にも出場していた京都外大西高校吹奏楽部。それが、2022年春には部員が3年生3人のみになってしまった。 部の存続が危ぶまれる状況の中、新顧問の島良輔先生が「日本一『楽しく成長』できるバンド」をスローガンに掲げ、改革をスタート。新入部員9人を迎え、合計12人での新たな船出となった。 当時新入部員だった松田凛音(りおん)は中学時代は陸上部。高校でも運動部に入ろうと思っていたが、部活紹介で吹奏楽部の演奏を見て考えが変わった。「島先生と3人の先輩が演奏をしているのを見て感動したんです。楽器を演奏したことはないし、楽譜もあんまり読めないけど、自分もやってみたいなって」 同じく1年生の松井結美(ゆうみ)は中学時代までバレエをやってきていた。ミュージカルにも興味があり、歌が歌える軽音部に入りたかったが京都外大西にはなかった。「吹奏楽は経験がないし、まさか歌えるとは思っていなかったんですけど、島先生が『歌っていいよ』と言ってくれて。それで入部を決めました」38 凛音はトランペット、結美はパーカッション担当となって活動が始まった。 3人の3年生は精いっぱい凛音たちを指導してくれた。凛音は言う。「部活紹介でも感じましたが、たった3人でも壊れかけという雰囲気ではなくて、いまある形で全力で頑張ってはるのが印象的でした。外大西の吹奏楽部を必死につないでくださったので、私たちもそれをいい形で引き継がなければと思いました」 とはいえ、試行錯誤の1年目はなかなか思うような活動ができなかった。 9月の定期演奏会で3年生が引退すると、2年生がいなかったため、凛音が1年生にして部長に就任した。Vol.29 京都外大西高等学校吹奏楽部部員3人の危機的状況から独自路線で輝き始めたパフォーマンスバンド取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)♪♪♪左より:松本暖都さん、松井結美さん、松田凛音さん

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