CDCDCDCD108エグザイル／パトリツィア・コパチンスカヤ＆カメラータ・ベルンラ・フォリア〜6人の作曲家によるフォリア〜／中野振一郎＆コレギウム・ムジクム・テレマンドラゴンの沼／ファゴットアンサンブル・ドルチッシモイーヴンタイド〜夕まぐれ ショパン＆ブラームス／マルティン・ガルシア・ガルシアコパチンスカヤと彼女がアーティスティック・パートナーを務めるカメラータ・ベルンの最新盤は「逃亡者」。表題作は後期ロマン派期のシェーンベルクを思わせるイザイの弦楽合奏曲だが、故郷とそこからの離脱というタイトルの含意は同時にアルバム全体のコンセプトにもなっている。ウクライナやモルドバ（コパチンスカヤの母国）の民謡と、シュニトケ、パヌフニク、シューベルト、ヴィシネグラツキーといった故郷にねじれた感情を抱いた作曲家の作品が組み合わされる。冒頭の狂気じみた乱舞に始まり、コパチンスカヤの野性のアンテナが彼らの音楽に潜む孤独にビンビンと反応している。（江藤光紀）2002年録音盤を、ブックレットも含めほぼそのまま再発。当時30代後半の中野振一郎の才気が溢れる。17～18世紀に欧州で流行した変奏曲ラ・フォリアの歴史をたどる旅。15世紀末のポルトガル起源の舞曲から、フレスコバルディ、コレルリ、A.スカルラッティ、ヴィヴァルディ、ジェミニアーニとイタリアでの流れを追う。中野のチェンバロのセンスと冴えは今聴いても新鮮で、特にA.スカルラッティの変転する楽想の描き分けが秀逸だ。そしてピリオド楽器にシフトしたコレギウム・ムジクム・テレマンを強力に牽引。20数年が経った今、現在の中野と同楽団によるこの種のアルバムも聴いてみたいと思った。（矢澤孝樹）ファゴットの名手4人によるアンサンブルのCD第2弾。今回はヴェルディ《運命の力》序曲など巧みな編曲作品や、大酒飲みの“ファゴット吹き”を描いたA.スキロー「海軍士官候補生バスーンブロワー」などのオリジナル楽曲に加えて、やはり委嘱作品の魅力が光る。「序」「破」「急」3つの楽章で日本の音の色を紡ぎ出す、葛西竜之介「ファゴット四重奏のための『雅』」も見事だが、この楽器がオーケストラの中で表現する「優しさ」や「悲哀」「怒り」といった感情を“ドラゴン”に見立てた宮川彬良「ドラゴンの沼」と、本人に編曲を依頼した同「風のオリヴァストロ」が圧巻。 （東端哲也）2024年には6都市の日本ツアーを成功させたマルティン・ガルシア・ガルシア。最新盤は『イーヴンタイド～夕まぐれ』と題し、ショパンのソナタ第2番とブラームスのソナタ第3番を中心に据え、ショパンの「舟歌」や、彼の出身国スペインの作曲家モンポウの「歌と踊り」第4番も収めた2枚組。晴朗な明るさを持ち味とするガルシアの音色だが、じっくりと聴かせる「舟歌」は奥行きを感じさせ、「葬送行進曲」中間部やブラームスの第2楽章での透明感のある優しい響きは遠い彼岸を思わせる。ファツィオリの伸びやかな低音の迫力も随所に聴かれ、鮮やかな演奏に魅了される。（飯田有抄）クギクリ（伝承曲）（J.ケレン編）／シュニトケ（M.メルケル編）：チェロ・ソナタ第1番／パヌフニク：ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲／シューベルト（P.コパチンスカヤ編）：5つのメヌエットと6つのトリオ第3番／ヴィシネグラツキー：弦楽四重奏曲第2番／イザイ：逃亡者 他パトリツィア・コパチンスカヤ（ヴァイオリン/指揮/歌） カメラータ・ベルン 他Alpha/ナクソス・ジャパンNYCX-10503 ￥3300（税込）フォリア ト調（作曲者不詳）／フレスコバルディ：フォリアの主題によるパルティータ／コレルリ：ヴァイオリンと通奏低音のためのフォリア／A.スカルラッティ：チェンバロのためのフォリア／ヴィヴァルディ：2つのヴァイオリンと通奏低音のためのラ・フォリア／ジェミニアーニ：コンチェルト・グロッソ「ラ・フォリア」スティーヴンソン：ディヴェルティメント／ヴェルディ（佐久間大作編）：《運命の力》序曲／葛西竜之介：ファゴット四重奏のための「雅」／スキロー：海軍士官候補生バスーンブロワー／宮川彬良：ドラゴンの沼、風のオリヴァストロ（宮川編） 他ファゴットアンサンブル・ドルチッシモ【佐久間大作 石川晃 山田知史 ヘンリック・ラビーン（以上ファゴット）】コジマ録音ALCD-3133 ￥3300（税込）ショパン：舟歌、ピアノ・ソナタ第2番「葬送」、前奏曲 op.45／ブラームス：ピアノ・ソナタ第3番／モンポウ：歌と踊り第4番中野振一郎（チェンバロ）コレギウム・ムジクム・テレマンマイスター・ミュージックMH-4536 ￥3520（税込）マルティン・ガルシア・ガルシア（ピアノ）Prima Classic/東京エムプラスPRIMA037（2枚組） ￥5313（税込）
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