第376回 定期演奏会2025.2/14(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp54 「声」と並び、人が音楽を愛し始めた最初期から使われる楽器が「笛」だろう。息がそのまま音色になる至高の楽器。世界各地の文化と歴史を背景に、独自の発展を遂げてきた笛の名人が集結! 東京と芦屋で夢のガラ・コンサートが実現する。 かつて5歳でデビューし天才リコーダー少女と呼ばれたミカラ・ペトリは、今や世界最高峰の奏者。その彼女を中心に、雅楽師の東儀秀樹、フルート奏者・山形由美、さらに能楽師笛方の一噌幸弘(2/8東京)、尺八演奏家の藤原道山(2/9芦屋)が加わってのプログラム第1部は、各人のソロで楽器の個性を堪能する。ペトリがバッハの無伴ミカラ・ペトリ ©Eric Klitgaard東儀秀樹 ©Ayako Yamamotoレードマークのリズミカルな動機を畳みかけて修行の厳しさを表現、ラストでは壮大なクライマックスを形成して釈迦の偉大さを讃える。40分にわたり伊福部節が全開、聖なるものに触れるカタルシスを体験させてくれよう。専属合唱団、東京シティ・フィル・コーアも息のあったところを聴かせてくれるはずだ。 プログラム前半にはブラームスの交響曲第3番が置かれているが、この組み合わせは藤岡が強く望んだものだと奏チェロ組曲第1番の一部を吹けば、東儀がシャンソンの名曲・コズマの「枯葉」や、ピアソラの「リベルタンゴ」を雅楽器で披露するといった具合。 第2部は斬新な組み合わせで、和洋の笛によるデュエットやアンサンブルが予定されていて、多くのリコーダー好きが愛するテレマンのソナタをペトリと一噌(op.5)または藤原(op.2)が奏でるなんて、もう興味津々! さらにオリジナルは2台のヴァイオリンとピア2025.2/8(土)14:00 紀尾井ホール2/9(日)14:30 ルネサンスクラシックス 芦屋ルナ・ホール問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://www.musicachiara.com※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。山形由美 ©Takuya Okamoto一噌幸弘藤岡幸夫 ©金子 力いう。西洋のシンフォニスト・ブラームスに、東洋のシンフォニストとして伊福部を対置させようという意図か。このあたりの妙もじっくりと味わいたい。藤原道山ノのためのショスタコーヴィチの小品集をペトリと山形で演奏、坂本龍一の佳品も多種の笛で重奏される予定だ。このように時代とジャンルを超えて、名人たちによる夢の「笛サミット」と呼ぶべきがこの公演だろう。 有名な曲も、初めて聴く曲も、フルート=笛のスター奏者による澄んだ音色と温かい息遣いで聴けば、安らぎと懐かしさすら感じるはず。まさに「笛の楽園」となるコンサートだ。文:江藤光紀文:朝岡 聡藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団壮大な音響伽藍で釈迦の生涯を描く伊福部の大作 東京シティ・フィルの首席客演指揮者・藤岡幸夫が、2月の定期に趣向を凝らしたプログラムで登場する。 藤岡が邦人作曲家の作品を精力的に取り上げてきたことは周知の事実。とりわけ根強いファンを持つ伊福部昭作品はレパートリーの一角を占め、東京シティ・フィルとは舞踊曲「サロメ」の録音なども残している。 そんな藤岡が今回取り上げるのは1989年に初演された交響頌偈(じゅげ)「釈迦」だ。若き王子・釈迦が悟りを求めてヒマラヤの王城を捨て(第1楽章:カピラバスツの悉達多(シッダルタ))、インドの聖地で苦行と瞑想を続けた結果、悟りを得るまでを描いた後(第2楽章:ブダガヤの降魔)、凡人の思惟を超えた境地に達した釈迦への賛歌で締めくくる(第3楽章:頌偈、頌偈とは仏や菩薩を讃える詩文のことで、ここではパーリ語佛典が引用されている)。重厚で息の長い旋律に始まり、第2楽章ではト世界フルートフェスティバル2025多彩な“笛”のスターが夢の大集合!
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