第553回日経ミューズサロン サラ・トラウベル ソプラノ・リサイタル伸びやかな歌声でヨーロッパの歌劇場を席巻するモーツァルト歌い 一声に撃たれ、打ち震え、虜になる。すぐれた歌手の声は時に、聴き手にこんな作用をもたらす。たとえばドイツのソプラノ、サラ・トラウベルのように。 声の透明な響きは高密度で、理想的に広がり、伸びていく。しかも、どの音域でも声質が一定で、超高音までストレスなく自然に達する。その声を浴び続ける心地よさがたまらない。 17歳にして故郷マンハイムでデビューしたトラウベル。その後、ベルリン芸術大学、ザルツブルクのモーツァルテウム大学、マンハッタン音楽院などで学び、主12/12(木)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227https://art.nikkei.com2025.1/26(日)14:00 横須賀市文化会館問 横須賀芸術劇場046-823-9999https://www.yokosuka-arts.or.jp12/14(土)15:00 大田区民ホール・アプリコ問 大田区文化振興協会03-3750-1555https://www.ota-bunka.or.jp43横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ71 金子三勇士 ピアノ・リサイタルピアノとトークで綴る名曲の旅 日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれたピアニスト、金子三勇士。6歳で単身ハンガリーに留学、祖父母の家からバルトーク音楽小学校に通い、2001年(11歳)に飛び級で国立リスト音楽院大学特別才能育成コースに入学、16歳で帰国するまで同国で研鑽を積んだ。そんな金子にとって、ハンガリーを代表する作曲家であるリストとバルトークを軸に、モーツァルト、ショパン、バッハなどを織り込んだ「音楽でめぐる欧州の旅」というプログラムは、自身の中から自然に出てきたものなのだろう。アプリコ・クリスマス・フェスティバル2024バレエ!バレエ!!バレエ!!! 特別版 くるみ割り人形とオーケストラの国一足早いプレゼント! 華やかな音楽と美しい舞による至福の時間 大田区民ホール・アプリコで毎年人気を博している、アプリコ・クリスマス・フェスティバル。「バレエ!バレエ!!バレエ!!!特別版 ~くるみ割り人形とオーケストラの国」と題された今年の公演では、齋藤友香理(指揮)&シアター オーケストラ トウキョウの演奏とともに、NBAバレエ団が踊る珠玉のバレエ作品を楽しむことができる。 ゲストバレエダンサーは、井関エレナ(ベルリン国立バレエ団 元団員)、二山治雄(パリ・オペラ座バレエ団 元契約団員)、高橋真之(NBAバレエ団 元プリ要な歌劇場や音楽祭でキャリアを築いてきた。なかでもモーツァルトは、欧州でもめずらしいほどの水準だ。気品ある声を器楽的に操る力があり、そのうえ情感も豊かだから、《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・アンナのアリアをはじめ、モーツァルトの楽曲の持ち味がこのうえなく開花する。そんな稀有な歌唱を日本で味わえるとは、なんという幸せだろう。 浅野菜生子のピアノ伴奏を得て、第一声の衝撃から終演まで、ホンモノに触れた心地よさに全身が包まれる。そんな時間が約束されている。 リストとフォーレの「夜想曲」 、ラヴェルとリストの水にちなんだ楽曲、バッハとショパンの「プレリュード」を対比的に並べてみせるなど、細部に至るまでこだわりが光る。もちろんバルトークの「ルーマニア民族舞曲」や、自身が司会を務めるNHK-FM『リサイタル・パッシオ』冒頭のテーマ音楽として使用されている「ミクロコスモス」第151番も。金子の品性とユーモアのあるトークが、さまざまな発見に満ちた欧州の旅に案内してくれるに違いない。ンシパル)と豪華実力派揃い。「バレリーナ芸人」として知られる松浦景子がナビゲーターを務める。 全体は二部構成。前半の「バレエとオーケストラの国」では、『白鳥の湖』や『海賊』の名場面を上演する。二山が彼のために振り付けされた「ボレロ」を披露するのも注目だ。 後半の『くるみ割り人形』ハイライトでは、チャイコフスキーの華麗な響きにのってクリスマス気分を盛り上げる。せわしない年末に心温まるひとときを過ごせるだろう。サラ・トラウベル ©Harald Hoffmann左より:齋藤友香理/井関エレナ/二山治雄 ©Maria-Helena Buckley/高橋真之 ©Seiichi Saito文:香原斗志文:原 典子文:高橋森彦浅野菜生子
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