eぶらあぼ 2024.12月号
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第727回 定期演奏会 12/7(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第98回 12/8(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp42もたびたび出演、新日本フィルの合唱ものには欠かせない栗友会合唱団と共に息の合ったところが期待できよう。 前半はユーモラスな身振りが楽しいイベール「室内管弦楽のためのディヴェルティスマン」(劇音楽を編みなおしたもの)にアルチュニアンのトランペット協奏曲が続く。アルチュニアンはアルすみだクラシックへの扉 第28回2025.1/31(金)、2/1(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jpジョナサン・ノット ©T.Tairadate期作品に比べると、以降の作品はもうひとつ演奏機会が少ないな…と思っていたところに、12音技法を駆使したヴァイオリン協奏曲だ。日本デビューを果たすスウェーデンの新鋭、アヴァ・バハリが、雄弁なソロで作曲家の革新性を感じさせてくれることだろう。佐渡 裕 ©Takashi Iijimaキュウ・ウォン・ハン ©Yuji Horiアヴァ・バハリ ©Sylvain Barrès 交響曲第5番「運命」は、2015年にベートーヴェン交響曲シリーズの第1弾として演奏されて話題を呼んだ。それから9年を経てのふたたびの「運命」。成熟度を高めたノットと東響はいかなる「運命」に到達したのか。ひりひりするような熱い演奏を期待したい。文:飯尾洋一文:江藤光紀山川永太郎メニア出身の作曲家で、この協奏曲もエスニックなテイストを響かせながらトランペットが縦横無尽に活躍する、その界隈では有名な作品だ。オーケストラの定期演奏会に上がるのは比較的珍しいが、その心は「ソロを務めるウチ(新日本フィル)の首席・山川永太郎の腕前をみてくれ!」ということだ。ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団巧みなプログラミングに日本デビューの新鋭が彩を加える すでに2026年3月をもって東京交響楽団音楽監督の任期を満了することが発表されているジョナサン・ノット。在京オーケストラのなかでも屈指の名コンビとして、2014年シーズンからノット&東響は絶えず進化を続け、音楽界に豊かな実りをもたらしてきた。これからは一回一回の共演が宝物のような体験になる。 12月の定期演奏会で組まれたプログラムは、シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲(独奏はアヴァ・バハリ)とベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。モダンとクラシックの組合せは、これまでにもたびたび披露されてきた、ノットの得意技だ。時代の離れた作品が鮮やかなコントラストを描くと同時に、モダンな作品の古典性、クラシックな作品の斬新さが伝わってくるところにノットのプログラミングの妙味がある。 シェーンベルクは今年生誕150年。記念の年とあって、注目度は増しているものの、後期ロマン派スタイルの初佐渡 裕(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団戦後80年、墨田の地に響く鎮魂歌 新日本フィルの「すみだクラシックへの扉」第28回には音楽監督の佐渡裕が登場、フォーレの「レクイエム」をメインに据えたプログラムで新しい年のスタートを飾る。 この選曲は墨田区の歴史と関係がある。軍需工場が林立していたこの一帯は、1945年3月10日の東京大空襲で壊滅的な被害を受け、6万人を超える人が犠牲になった。2025年はそれからちょうど80年。数あるレクイエムの中からフォーレのそれが演奏されることには、この曲が天国的な美しさをもつ上に、「怒りの日」というミサとしてのレクイエムには18世紀以降不可欠となった楽章がないということも関係していよう。各地で紛争の炎が吹き上がる昨今、対立は怒りをもってしては乗り越えられないのだという、過去を通した現状へのメッセージがそこに感じられる。バリトンを歌うキュウ・ウォン・ハンは佐渡が同じく芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターに

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