eぶらあぼ 2024.12月号
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第2028回 定期公演 Aプログラム2025.1/18(土)18:00、1/19(日)14:00 NHKホール第2029回 定期公演 Cプログラム2025.1/24(金)19:00、1/25(土)14:00 NHKホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp2025.1/21(火)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp38左より:フランチェスコ・コルティ ©C.Doutre/イル・ポモドーロ ©Nicola Dal Maso & il Pomo d’Oro/前田りり子 ©Koichi Miuraわっての「ブランデンブルク協奏曲第5番」が聴けるという豪華さ。その前田が独奏のC.P.E.バッハのフルート協奏曲、さらになかなか聴く機会に恵まれない隠れた傑作、J.A.ベンダのチェンバロ協奏曲と「ポスト・バッハ」時代も射程に入れた聴きごたえあるプログラムだ。「黄金の林檎」を生で味わおう。証となる現世に相応しい曲であり、新年最初に置かれた点も意味深い。 もうひとつ興味をそそるのが、ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」とブラームスの交響曲第1番を並べたCプロ。前者は古いイタリア音楽を換骨奪胎し、後者はロマン派後期に古典を意識して書かれた、“温故知新”的な組み合わせだ。「プルチネッラ」はソヒエフ一流の音色感やリズム感とN響の機能性の融合、 ブラ1は、N響の伝統的十八番であるドイツ音楽の名作に、昨年のウィーン・フィル日本公演でも同曲デモーニッシュなニ短調協奏曲は録音ではフル・オーケストラ編成だったが、今回は極小編成(第一ヴァイオリンのエフゲニー・スヴィリドフもタルティーニやベンダのディスクを出している凄腕)で、より緊密なアンサンブルが楽しめよう。そして日本を代表するフラウト・トラヴェルソ奏者、前田りり子が加トゥガン・ソヒエフ ©Marco Borggreveで魅了したソヒエフが吹き込む新鮮な息吹に期待が集まる。 共に、極めてエキサイティングな、“ソヒエフ&N響”でこそ聴きたい公演だ。文:柴田克彦文:矢澤孝樹トゥガン・ソヒエフ(指揮) NHK交響楽団世界的名匠が意味深長なプログラムで魅せる! N響の1月定期は恒例となったトゥガン・ソヒエフの登場。彼は、祖国ロシアのウクライナ侵攻に胸を痛めてボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル管の音楽監督を辞任しながらも、ベルリン・フィル等の著名楽団から引く手数多の名匠で、ここ2年、ウィーン・フィル、ミュンヘン・フィルと来日している点が傑出した手腕を証明している。近年立て続けに客演しているN響でもロシアものをはじめとする多彩な作品で名演を展開。清新な感性や生気を隅々まで湛えた精彩と色彩感溢れる演奏で、多大な感銘を与えている。 今回最も注目されるのは、ソヒエフの持ち味がフルに発揮されるAプロのショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」だ。1941年に戦火の当地で書かれたこの曲は、中間部の盛り上がりで名高い第1楽章から熱く高揚する第4楽章に至る、巨大な壁画のような音楽。全体主義的な抑圧への反イル・ポモドーロ with フランチェスコ・コルティ欧州で話題沸騰中の古楽オーケストラが初来日 Il Pomo d’Oro-「黄金の林檎」。アントニオ・チェスティの名作バロック・オペラからその名を取ったイタリアの古楽オーケストラ、待望の初来日である。イタリアの古楽団体と言えば濃厚な歌と表現の激しさが特徴だが、イル・ポモドーロはそれに加えて柔軟な対応力が際立つ。バロック音楽はもちろん、首席指揮者マクシム・エメリャニチェフ指揮のモーツァルトの交響曲集など、古典派以降でも鮮烈な演奏を繰り広げる。 本公演は首席客演指揮者でもあり、同楽団とJ.S.バッハのチェンバロ協奏曲集の録音が高く評価されたフランチェスコ・コルティが中心となったプログラム。濃密な合奏とコルティの熱気と読みの深さが両立した独奏が印象深かった同ディスクの演奏が、ライブでさらに羽ばたくことが期待される。

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