eぶらあぼ 2024.12月号
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Kazune Shimizu/ピアノLina Matsuda/ヴァイオリン©Yuji Hori©Naruyasu Nabeshima30 ピアノの清水和音、チェロの向山佳絵子、ヴァイオリンの松田理奈。それぞれの世代を代表する名手が、新春の浜離宮朝日ホールで再会する。それぞれに共演は重ねつつも、トリオとしては実に16年ぶり、2度目の演奏会となるだけに、いろいろと期待も大きい。 「最初にこのトリオで演奏したのは2009年。まだ室内楽をあまりしていなかった時期で、いきなり幼少から聴いてきたおふたりとの共演ですから。私はかなり必死だったけど、すごく居心地が良かったという、あの感覚は未だに忘れられない」と松田は言う。 「室内楽のなかでも、とくにピアノ・トリオは、存取材・文:青澤隆明在感の強い人を選んで、いっしょにやりたい。そこに醍醐味がある、曲がそういうふうに書かれているから」と清水は語る、「どの場面も遠慮があってはだめで、互いに支え合いながら、自分のパートが主張していないと、曲そのものが埋没してしまう」。 「トリオとなるとやっぱり個々の責任が重くなってくる。それぞれ違うところにこだわりがあって、だからいっしょにやると面白いんじゃないかな。ソリストが集まってもできるジャンルで、どれぐらいアンサンブルを追求し、お互いの関係性を突き詰めるか、という楽しみがトリオにはある」と向山も言う。 「ピアノ三重奏曲には、演奏によっていろいろな顔をつくれる幅広さがあると感じます」と松田、「おふたりと演奏できるのは、私にとってご褒美みたいな機会です。16年前とは楽譜から見えることが全然互いに信頼するベストメンバーが集結百戦錬磨の名手たちが挑む「偉大な芸術家の思い出に」百戦錬磨の名手たちが挑む「偉大な芸術家の思い出に」清水和音松田理奈

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