eぶらあぼ 2024.12月号
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24左より:マレク・ヤノフスキ ©Felix Broede/クリスティアン・ゲルハーヘル ©Gregor Hohenberg/オクサーナ・リーニフ ©Oleh Pavliuchenkov/ジョナサン・ノット左より:リッカルド・ムーティ ©Todd Rosenberg Photography – By Courtesy of riccardomutimusic.com/ルドルフ・ブッフビンダー ©Marco Borggreve/キリル・ゲルシュタイン ©Marco Borggreve/クラングフォルム・ウィーン ©Tina Herzlムニス」に取り組む。記憶に残る名演を期待したい。 この音楽祭に欠かせないマエストロ、リッカルド・ムーティも登場する。レスピーギの交響詩「ローマの松」やカタラーニの「コンテンプラツィオーネ」などからなるイタリア音楽プログラムで、東京春祭オーケストラを指揮する。 「東京・春・音楽祭」の魅力は、これら大型公演に加えて、リサイタルや室内楽にも興味深い公演がずらりと並ぶ点にある。前回、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を演奏したルドルフ・ブッフビンダーがふたたび招かれ、ソロと室内楽でシューベルトに取り組む。また、現代最高峰のピアニスト、キリル・ゲルシュタインもソロと室内楽のプログラムに出演する。室内楽ではカルテット・アマービレとの共演でブラームスを披露する。 現代音楽ファンにとっては、アンサンブル・アンテルコンタンポランとクラングフォルム・ウィーンの2つのアンサンブルの登場が大きな話題となるだろう。生誕100年を迎えるピエール・ブーレーズらの作品が演奏される。 この音楽祭ならではのミュージアム・コンサートや歌曲シリーズ、マラソン・コンサート、子どものためのワーグナーなど、今年も好企画がずらりと並ぶ。春の到来が待ち遠しい。文:飯尾洋一東京・春・音楽祭 2025 2025.3/14(金)〜4/20(日)東京文化会館、東京藝術大学奏楽堂(大学構内)、旧東京音楽学校奏楽堂、東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館 他■ 東京・春・音楽祭サポートデスク050-3496-0202https://www.tokyo-harusai.com※プログラム、チケット発売日などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。東京・春・音楽祭 2025 ラインナップ発表!大きな節目を超え、今年も上野に音楽の花々が咲き溢れる 春の上野の風物詩として定着した「東京・春・音楽祭」。21回目を迎える今回も、目を見張るような充実したラインナップが組まれた。開催期間は2025年3月14日から4月20日まで。東京文化会館を中心に、上野の美術館や博物館ほかで、多彩な公演が連日開催される。 この音楽祭の目玉、演奏会形式によるオペラは3演目が上演される。「ワーグナー・シリーズ」では、マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団による舞台神聖祝典劇《パルジファル》がとりあげられる。今回もドイツの名匠がN響から緊張感みなぎるサウンドを引き出してくれることだろう。題名役のスチュアート・スケルトン、クンドリ役のターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー、アムフォルタス役のクリスティアン・ゲルハーヘル、グルネマンツ役のタレク・ナズミら、豪華歌手陣とともに深遠な作品世界へと誘う。 「プッチーニ・シリーズ」はオクサーナ・リーニフ指揮読売日本交響楽団による《蝶々夫人》。ボローニャ歌劇場音楽監督を務めるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中のリーニフが、読響とどんな化学反応を起こすのか、楽しみだ。クロアチアのラナ・コスが題名役を務める。 さらに、生誕200年を迎えるヨハン・シュトラウスⅡ世のオペレッタ《こうもり》が、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団により演奏される。この音楽祭でノット&東響の名コンビが登場するのはうれしい驚き。しかも《こうもり》とは意外性のあるチョイスだ。アドリアン・エレートのアイゼンシュタイン、マルクス・アイヒェのファルケ博士ら歌手陣も実力者ぞろい。 オペラ以外にも注目公演が目白押しだ。恒例の「合唱の芸術シリーズ」では、ヤノフスキ指揮N響が東京オペラシンガーズとともにベートーヴェンの「ミサ・ソレ

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