eぶらあぼ 2024.11月号
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3位を受賞している。 この2人が共演するピアノ協奏曲第1番では、珍しい1875年の初版が取りあげられる。一般的な1888年版の改訂版とは、冒頭の和音がアルペッジョになっていることなど、いくつか異なる部分がある。未整理ではあっても、作2025.3/2(日)15:00 めぐろパーシモンホール問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904https://www.persimmon.or.jp11/9(土)15:00 すみだトリフォニーホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 https://www.triphony.com11/13(水)19:00 ルネサンスクラシックス 芦屋ルナ・ホール11/14(木)18:45 広島/エリザベト音楽大学セシリアホール問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://www.musicachiara.com11/16(土)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。65フレッシュ名曲コンサート大井 駿(指揮) × 務川慧悟(ピアノ) × 読売日本交響楽団チャイコフスキーで輝く若きアーティストの個性 めぐろパーシモンホールは、東京都目黒区八雲の、かつて東京都立大学(現在は八王子市に移転)があった敷地に建つホールだ。2002年開場の大ホールは定員1200、ほどよい大きさでとても見やすく、聴きやすい。 この気持ちのよいホールで、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と交響曲第6番「悲愴」という人気曲を読売日本交響楽団が演奏する「フレッシュ名曲コンサート」が、2025年3月に行なわれる。「フレッシュ」、というそのタイトルにふさわしく、指揮者とピアニストは1993年生まれ。まさに期待の新鋭だ。 指揮の大井駿はザルツブルク・モーツァルテウム大学指揮科などに学び、2022年の第1回ひろしま国際指揮者コンクールで第1位と細川賞を受賞。ピアニストとしても活躍する。また、ピアノの務川慧悟は東京藝術大学からパリ国立高等音楽院に学んで、21年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで第わせて各楽器の魅力が存分に味わえるプログラムになっている。たとえばチェンバロでは「調子のよい鍛冶屋」の変奏曲で知られるヘンデルの組曲第5番、オルガンではJ.S.バッハの傑作「前奏曲とフーガ ハ短調」 BWV546など。各ホールのパイプオルガンやクルスベルヘン製作ルッカース・モデルのチェンバロ(鈴木雅明氏所有)の音色も聴きどころ。生来の躍動感と愉悦に齢を重ねた深みを加えた、今のコープマンが奏でるバロック鍵盤音楽の神髄に触れるまたとない機会となるだろう。大井 駿 ©Great The Kabukicho務川慧悟 ©Yuji Ueno曲家が最初に構想したみずみずしさをもつ初版の魅力は、将来性あふれる俊英2人にふさわしい。 なお、10月25日にはキャンペーン・イベントとして、トーク&レクチャー「指揮者・大井駿を知る」が中目黒GTプラザホールで開催される。文:山崎浩太郎文:那須田 務©François Berthierトン・コープマン(チェンバロ/オルガン) リサイタル巨匠の至芸で聴く豊穣のバロック鍵盤音楽 トン・コープマンは齢80を迎えた今年も、6月のライプツィヒのバッハ音楽祭に出演し、自身のアムステルダム・バロック管弦楽団や特別編成のバッハ合唱団を指揮して縦横無尽の活躍ぶり。このように指揮者としての顔を持つが、もともとチェンバロ・オルガンの奇才と言われた人だ。幼い頃から教会でオルガンを弾き、チェンバロは学生時代にブルージュの国際チェンバロ・コンクールの通奏低音部門で優勝。双方で精力的に演奏会を行ない、膨大な録音がある。 そんなコープマンがこの11月に、全国4ヵ所で鍵盤楽器のコンサートを行なう。すみだトリフォニーホールではチェンバロとオルガン、芦屋ルナ・ホールと高崎芸術劇場ではチェンバロ、広島のセシリアホールではオルガン。いずれも、該博な音楽学の知識を持ちつつ、常に聴き手を楽しませたいと願うコープマンらしく、初期バロックの名品に盛期バロックの人気曲などを取り合

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