eぶらあぼ 2024.11月号
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60Interview寺田悦子(ピアノ)& 渡邉規久雄(ピアノ)ブラームス「ハンガリー舞曲集」全曲をオリジナルのピアノ連弾で取材・文:長井進之介 それぞれが卓越したソリストでありながら、デュオとしても充実した活動を続けている寺田悦子と渡邉規久雄。二人の連弾を楽しめるコンサートの第4回のテーマは「連弾音楽の系譜」。ブラームスの「ハンガリー舞曲集」全21曲を核に、モーツァルト、シューベルトの作品が並ぶ。寺田「『ハンガリー舞曲集』全曲を演奏したいというところから今回のプログラムを決めていきました。第6番までは演奏されることが多いですし、私たちも実際に取り上げてきましたが、第7番以降は録音以外で聴ける機会は少ないですよね」渡邉「当時流行していたハンガリーの音楽を取り入れ、その特徴を生かしつつブラームスならではの音楽も感じられる魅力的な曲集です。特に後半になるにつれてブラームスの独自性が強まっているので、その変化もお聴きいただきたいです」寺田「また落ち着いたテンポの楽曲にはロマの音楽ならではの歌いまわしが聴ける箇所がありますが、それらは日本人の感性に訴えるものも多く、お客様にとっても新たな発見があるのではないかと思います」 有名な第1、5、6番などは華やかで演奏効果も高いが、後半でも高度なテクニックが要求されるという。12/9(月)19:00 高崎芸術劇場 音楽ホール 12/10(火)19:00 神奈川県民ホール(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp他公演 12/8(日) 新潟/糸魚川市民会館(025-552-5900)    12/12(木) 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(03-3464-3252)至高のブラス・クインテットと呼びたくなるような強力メンバーだ。 プログラムはバラエティに富む。モーツァルトの《魔笛》の序曲と〈夜の女王のアリア〉や、エヴァルドの金管五重奏曲第3番、ピアソラ、ヨハン・シュトラウスII世なども。鮮やかな技巧に舌を巻きつつ、リラックスして楽しめることだろう。寺田「ブラームスならではの重音奏法や速いパッセージなど、かなりピアニスティックに書かれている楽曲もあります。手が交差する箇所も多く、連弾曲としての難易度も非常に高いです。取り組むほどに新たな楽しさを感じられます」渡邉「全曲を通してプリモとセコンドそれぞれのパートの独立性が高く、アンサンブルとしての面白さがつまっています。オーケストラや室内楽を思わせる部分も非常に多く、音色の面でも多彩な世界をお楽しみいただけると思います」 今回は「ハンガリー舞曲集」の魅力を再発見できることはもちろん、「連弾音楽の系譜」と題している通り、モーツァルトの「四手のためのソナタ」K.381にはじまり、シューベルトの「創作主題による8つの変奏曲」、そしてブラームス…と連弾音楽の歴史を辿るような内容になっている点も興味深い。寺田「モーツァルトはユニゾンも多く、二人で一緒に演奏する楽しさを味わう寺田悦子 & 渡邉規久雄 デュオ・ピアノ 四手連弾の宇宙Ⅳ 「連弾音楽の系譜」11/21(木)19:00 紀尾井ホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演11/7(木) 盛岡市民文化ホール(小)(マリオスインフォメーション019-621-5002)左:寺田悦子 右:渡邉規久雄ことに重きが置かれており、シューベルトではそれがより進化し、技巧的にも難易度が上がっています。そしてブラームスではよりポリフォニックな面が増して…というように、連弾音楽の進化を耳でお楽しみいただけるように組みました」 連弾音楽の歴史を追いつつ、ブラームスの「ハンガリー舞曲集」の知られざる魅力にも出会うことができる、貴重な機会となりそうだ。ウィーン=ベルリン ブラス・クインテット独墺の楽都が誇るスター・プレイヤーたちが織りなす極上のサウンド文:飯尾洋一 この12月、ウィーンとベルリンの最高峰のオーケストラの名手からなるウィーン=ベルリン ブラス・クインテットが来日する。中心となるのは元ベルリン・フィル首席トランペット奏者のガボール・タルケヴィ。サイトウ・キネン・オーケストラでもおなじみの現代最高の奏者のひとりだ。さらにウィーン交響楽団トランペット首席のマティアス・ケルンシュトック、ウィーン・フィルのホルン奏者トーマス・イェプストル、ウィーン交響楽団トロンボーン首席のワルター・フォーグルマイヤー、同楽団テューバ首席のフランツ・ヴィンクラーが加わる。

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