eぶらあぼ 2024.11月号
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第1011回 定期演奏会Bシリーズ 11/20(水)19:00 サントリーホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp12/15(日)15:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net59ごほうびクラシック 第12回 年末スペシャル ピアノ・オールスターズIII ピアノの詩人ショパン 名曲の花束国内外のピアノコンクール入賞者たちの華麗なる饗宴 コンクールがインターネット中継され、誰もが「推し」をパソコンのモニター越しに応援できるようになった昨今、若手の登竜門であるピティナ・ピアノコンペティションが日本における「ピアニスト・ブーム」をますます盛り上げている。そんなコンペティションの舞台である第一生命ホールに、歴代入賞者が集うスペシャルなコンサート「ごほうびクラシック 第12回 ピアノ・オールスターズIII」が12月15日に開催される。 出演者は、北村明日人、中川真耶加、古海行子、内匠慧の4人。北村は2022年のピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、中川は19年にスペインで開催されたカンピージョス国際ピアノコンクール第1位、古海は22年のダブリン国際ピアノコンクール第2位、内匠は12年の浜松国際ピアノコンクール第6位ならびに日本人委嘱作品最優秀演奏賞、ノルウェーのグリーグ国際コンクール特別賞と、コンクールストラは、波打つように揺れ動き、聴き手を陶酔させる。その耽美的な世界を、楽譜と真摯に向き合う厳格なタクトの小泉のもと、マーラーやR.シュトラウスでの快演が続く都響がどのように描くのか楽しみだ。 前半は、小泉が愛する名曲、モーツァルトのディヴェルティメント K.334。ザルツブルク期の最後を飾る傑作は、有名なメヌエットなど、晴れやかで優美な音楽が心地よい。小泉の指揮で、都響が誇る弦楽器群か受賞歴は枚挙にいとまがない。 今回の「ごほうびクラシック」は第1部を「リクエスト曲コーナー」とし、それぞれのピアニストが4曲の候補の中から、インターネット投票で選ばれた2曲を演奏する。ピアニストの持ち味を考えながら、弾いてほしい曲をリクエストできるなんて、ピアノ・ファンにとっ北村明日人 ©Tomoko Hidakiてはまさにクリスマス・プレゼント。そして第2部は「ピアノの詩人ショパン」と題し、4人がそれぞれショパンの名曲を演奏する。古海は21年のショパン・コンクールでセミファイナリストに選出されたが、来年が同コンクールの開催年であることを考えるとじつに楽しみだ。小泉和裕 ©Rikimaru Hottaら豊かでしっとりとした響きが引き出され、音楽に浸る喜びを存分に感じさせてくれるだろう。深まる秋にじっくりと味わいたいプログラムだ。中川真耶加古海行子 ©Masatoshi Yamashiro文:柴辻純子文:原 典子内匠 慧小泉和裕(指揮) 東京都交響楽団端正と耽溺――名匠が描き出す二人の天才の対照的な美 2024年は新ウィーン楽派の作曲家シェーンベルクの生誕150年。無調や12音技法を用いたことで、難解なイメージで語られがちだが、その音楽はどれも魅力的で、歌曲やピアノ曲から大編成の管弦楽曲まで、独学の天才は、どの作品でも驚くべき才能を発揮した。東京都交響楽団の11月定期演奏会Bシリーズでは、終身名誉指揮者の小泉和裕が、シェーンベルク初期の大作、交響詩「ペレアスとメリザンド」(1902~03)を取り上げる。後期ロマン派のスタイルで書かれ、世紀末ウィーンの香りが漂う濃密な作品だ。 ベルギーの詩人メーテルリンクの同名の戯曲は、同時代の多くの作曲家の心を揺さぶった。宿命の恋、禁断の愛は、シェーンベルクの「浄夜」にも通じる題材である。単一楽章の交響詩は、交響曲の4つの楽章の要素を組み込み、ライトモティーフを導入。大胆な和声と対位法的書法が際立ち、4管編成のオーケ

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