eぶらあぼ 2024.11月号
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第15回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル 2024経験豊富なマエストロたちのもとみなぎる若きエネルギー11/9(土)15:00 大田区民ホール・アプリコ問 大田区文化振興協会03-3750-1555 https://www.ota-bunka.or.jp11/23(土・祝)、11/30(土) 各日15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール12/1(日)15:00 すみだトリフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 https://www.kawasaki-sym-hall.jp53 首都圏の音楽大学と公共ホールが連携し、学生の交流・切磋琢磨を目的として毎年開催される音楽大学オーケストラ・フェスティバルも今年で15回目を迎える。東京芸術劇場が休館中のため、共催するミューザ川崎シンフォニーホールのほかにすみだトリフォニーホールが会場となるが、今年もまた8校の音楽大学が大作をひっさげ名マエストロたちのタクトで技を競う。 オープニングとなる11月23日(ミューザ川崎)で先陣を切るのは昭和音楽大学。時任康文の指揮するバルトークの「管弦楽のための協奏曲」では、曲名通り各パートが大活躍するはず。東京藝術大学は下野竜也の指揮で、三善晃の晩年の傑作「焉歌・波摘み」とベートーヴェン「レオノーレ」序曲第2番という現代曲と王道レパートリーの合わせ技。桐朋学園大学は同校OBでもある沼尻フレッシュ名曲コンサート “モーツァルト” vs “ベートーヴェン”偉大なる楽聖!! あなたの推しは?!ファゴット界の新星が飛躍を続けるマエストロと注目の共演! これは期待大。11月の大田区民ホール・アプリコ、角田鋼亮が東京都交響楽団を振って、古典派名曲を聴かせる。2019年からセントラル愛知交響楽団の常任指揮者として目覚ましい成果をあげて、今年から音楽監督に就任した角田。各地のオーケストラへの客演でも、深みとスケールの増した好演を続けている。客演指揮者とも常に優れた演奏を実現する都響と共に、メインの交響曲第5番「運命」で充実のベートーヴェンを聴かせてくれるだろう。 前半はモーツァルトで、《魔笛》序曲で開始。続いて登場する若きファゴッ左より:時任康文 ©Yamaguchi/下野竜也 ©Naoya Yamaguchi/沼尻竜典/現田茂夫 ©K.Miura/広上淳一 ©Masaaki Tomitori /高関 健 ©K.Miura/大友直人 ©Rowland Kirishima/秋山和慶 ©堀田力丸トの名手、保崎佑との協奏曲は注目を集めている。保崎は宝塚ベガ音楽コンクール第2位、東京音楽コンクール第1位及び聴衆賞と受賞を重ね、将来を嘱望されている。しかも東京音楽大学大学院音楽研究科博士後期課程を総代で修了、そこでの研究で日本初となるファゴットでの博士号を取得、という面でも新しい世代を代表する存在。そのフレッシュな音色と勢いを体感しておきたい。竜典の指揮でR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」。ヴィオラとチェロのソロにも注目だ。 11月30日(ミューザ川崎)にも3校が登場。武蔵野音楽大学は現田茂夫の指揮でサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」、東京音楽大学は同校OBの広上淳一の指揮でプロコフィエフの交響曲第5番、国立音楽大学は高関健の指揮でレスピーギの交響詩「ローマの噴水」、「ローマの松」をとりあげる。重量級のシンフォニックな作品が並ぶプログラムは壮観で、各大学のカラーの違いもくっきりと出るのでは。 最終日となる12月1日 (すみだトリフォニーホール)は、大友直人の指揮による東邦音楽大学のモーツァルト・交響曲第41番「ジュピター」の後に、洗足学園音楽大学が長老・秋山和慶のタクトのもとベートーヴェンの交響曲第9番で人類愛を歌い上げる。曲の組み合わせもさることながら、年の瀬にもふさわしいプログラムだ。 各大学の演奏の前には共演校がファンファーレを演奏しエールを送る。また来年3月29日には各大学の選抜メンバーからなるフェスティバル・オーケストラがショスタコーヴィチの交響曲第4番(指揮:沼尻竜典)等を演奏する。未来の音楽界を担う若い情熱の発露に耳を傾けたい。角田鋼亮 ©Makoto Kamiya文:林 昌英文:江藤光紀保崎 佑 ©猪狩健太郎

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